12/12 23:08

まっくらまくらに
寝首を沈めてかいてやろう
深い深い睡魔に沈んで喰われてしまえ

徘徊するスクブスと一夜を過ごせるかもしれない、

まっくらまくらに寝首をとられてしまえ



12/23 21:17

あのころの俺はもういないんだから
もう終わりにしようぜ

ずっとずっと昔
そりゃ大人になるのを夢に見て希望を溢れさせていたさ、

だから、そのときの俺はもういないの

終わりにしよう

あのころ夢に見た大人の世界は暗かった。モノクロ。
あんな純粋無垢の俺なんてもういないんだ
しんじまったんだ

お前が望む俺はもういなくなってしまった
その眠そうな目を今だけでも見開いて目の前の人物をちゃんと見ろよ

ホラ、薄汚れた大人になりかけてる俺がいる。

12/24 13:27

終わりは始まり

という言葉を聞いたとき俺は絶望した。
つまり、何かが始まるということは
何かが終わった、ということだ。

姉は慰めるつもりで言ったのだろう。
レッドがいなくなったと周りが理解した時に告げられた言葉だ。
ひどく狼狽えている俺に向けられた言葉で、俺は冷静になるしかなかった。

「そっか、そうだよな」

と返し、ありがとう、ねーちゃんと発して会話の終わりを告げる。
つまり、そういうことなのだ。

始まりは何かが終わったことを告げるならば、
今回はレッドがいない生活の始まりを告げるのだから。


グリーンの姉は言った。
「グリーンは、寂しがり屋なの。無くなってしまう関係なら最初から作らないと、自分から壁を作ってしまった。」
今では、私ともあまり会話してくれないのよ
言って寂しく笑った。

やはり、血の繋がる姉弟、彼女もまた寂しがり屋だった。


12/24 22:17 小鬼レッドと人間グリーン

夕焼け空が綺麗に見える
小さな小山の上に
小鬼はいました

夕方、いつもどおり夕焼けをみにきた小鬼に
夕方、いつもどおり子供たちが石を投げに来ました

やーい、おにさんこちら
てのなるほうへ

おにさんは面倒なので、言葉通りにはなってあげませんでした
痛くも痒くもないので、綺麗な夕焼けのほうが大事なのです
理由はもうひとつ、
食べたところであの子供たちは美味しそうではないから

ある日、いつもどおりの子供はやってこなくて、
かわりに一人だけやってきました
同じ年の外見の男の子は
他の子のように石を投げつけてきました
それは当たることなく、小鬼の近くに落ちました

お前、こんなことされて悔しくないのかよ

男の子は小鬼に聞きました
そこで小鬼は初めて男の子の方を見ました
そして泣きそうな瞳とかち合ったのです

悔しくないよ
それより、なんで君はそんな顔して投げてきたの?

すると、男の子は顔を背けます
後ろの木陰にいつもの子供たちを見つけました
見たところ彼よりいつもの子供たちの方が年上のようで、きっと脅されたのでしょう

そこで、小鬼はこれまた初めて立ち上がりました
お気に入りの夕焼けよりも、お気に入りになりそうなものを見つけたからです

「きみは、おいしそうだね」

一瞬で距離をなくし、彼の驚き、恐怖を交えた表情を確認してみぞおちに拳を埋めました
崩れ落ちる少年を支え、木陰にいた子供たちを一瞥すると
彼らは怯えて蜘蛛の子のように逃げていきました
小鬼に支えられている少年を置いて

小鬼はやっぱり彼らは美味しくなさそうだと思うと、自分のお家へ歩き出しました



しばらく経って、小鬼の家の前まで女の子は来ました
他の鬼もいるのになんて勇敢な女の子でしょう
好奇心に誘われ、女の子の呼び掛けに小鬼は応えました

弟を返して

泣きながら女の子は言いました
ああ、この子はグリーンのお姉ちゃんなんだ
小鬼は合点がいくと住まいの洞穴の奥に声を発します

すると足音と共に男の子が現れました

「なんだ?レッド」

快活な声をあげたのは紛れもなくグリーンで、女の子の求めていた弟です
しかし、女の子が名前を呼ぶと彼は小鬼の後ろへ隠れてしまいました

「レッド、誰だよその人間……」

ひどく自分に対して怯える弟の姿に、女の子は衝撃を受けました
すると小鬼が女の子の耳元でそっと言葉を囁きました
女の子は驚いた表情をしたあとみるみると怒りをあらわにしました
けれど、小鬼は気にした様子もなくまた一言呟きました

いただきます


小鬼の住まいの前に女の子が一人座り込んでいました
すると、人間の匂いに誘われたのでしょう
鬼がちらほら姿をあらわしました

小鬼よ小鬼、この人間は要らないのかい?

要らないよ。僕はもう食べたいものは食べたから残りはお食べ

そうかい、ならばありがたく。いただきます

女の子は動きませんでした怯えませんでした
当然でしょう


心は全て食べられてしまったのだから



君の弟は君を知らないよ
だって僕は、人間の肉より記憶や心が好きなんだ
君の弟は美味しかった
愛されていて良かったね

そして、グリーン
君のお姉ちゃんも美味しかったよ
君の記憶には劣ったけれど


12/25 21:30 瓦解

バカみたいだろ?

マトリョーシカを一度も分裂させること無く、金属の引っ掻き棒で貫いて見せた幼馴染みは言った。
いや、貫くと言うのには語弊がある。貫くにしては、マトリョーシカはバラバラに、中の引っ掻き棒を晒しているから。

組織の大枠のボスを壊せば、組織は中身も壊れていったんだ、何もせずとも。
それを組織と呼んでいたんだ。

無惨に砕け散ったマトリョーシカを眺めながらふと、思った。
勿体無い。

なんて、このマトリョーシカになんの思い入れも無いけれど。

バカみたいだろ?

嘲笑しながら幼馴染みは再度、同じ言葉をいい放った。


なんで俺はこんな奴と関係を持ったんだか


12/27 06:53 クローングリーンの続き

タイトル忘れてまったけど、クローングリーンさんのお話

簡単に言えば
クローンが嫌な顔したのは、やはり自分は同じ容姿のグリーンという男の代替品で、本物ではないとレッドの言葉で知ってしまったから
それから、


「ねえ、何て名前がいい?」

静かに二人寄り添っていると、レッドが意味不明な質問をして来た。
俺は生憎本物ではないから、こう質問で主語や、目的語を抜かれると内容がわからない。
しばらく考え込んで黙っていると繋いでいた手をポンポン叩きながらレッドは補足してくれた。

「俺に、なんて呼ばれたい?」

俺の名前の話だったのか、レッドに呼ばれたい名前、か。
レッドは好きだ。俺を本物とは決別した別の存在として見てくれている唯一の人物。しかも、じいさんや姉ちゃんの前でグリーンらしくあろうとする俺に協力までしてくれる。
そして、疲れはてた俺の横にこうして居てくれる。大切な、特別な存在だ。
そんな、彼から呼ばれたい名前ね、
そしてある言葉が浮かんだ。

「リーフ、リーフって呼んでくれよレッド。」

へえ、リーフか。わかったよ、リーフ!
静かに笑んで返してくれた彼に心の中で一人嘲る。

クローンとは、「小枝の先」という意味だ。小枝の先につくのは葉、だからリーフ。
結局、彼から派生した不完全体、彼の生きた道を糧としなくては生きてはいられないのだから。

「なら、俺は、コレからはファイアだ!」

レッドがまた意味不明なことを言い出す。いや、意味は解るが、意図が全くもって理解不能だ。

「グリーンがいないなら、誰のライバルにもなれないレッドは死んだも同然だ。なら、俺って存在はもうレッドじゃない。」

だから、コレからはファイアだ!そういって俺の心に刻み付けるように名前を復唱してきた。
理論はまったく筋が通っていないが、レッドは俺のためにレッドという存在を捨ててくれるらしい。
横で「じゃあ髪とかも染めて一新しようかなー」なんてぼやいてるファイアに心の中で、ありがとう。とだけ呟いた。

「あ、リーフなーに笑ってんだよ!」

「笑ってねーっつーの!」




12/28 22:20

花散るヒラヒラ華やかに
ヒラヒラ散る儚い命

遊女行き交う華やかな陰
俺はひっそりと不釣り合いな店に生きる
死んだように生きる

売る体のお駄賃はどこに散ったのか
手元には来ない
手をこまねいても好きな人は来ない

こんなことなら、

思わないようしたことが掠める
笑顔の記憶が掠める

そうしてヒラヒラと記憶が散っていく

「お客だよ」

声に応えず
ひとつ思った

振られた後ならココでも生きていけたのかもしれない

陰間グリーン


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