凌辱
許せなかった。
俺がつるんでる先輩たちにレッドがぼこられた。
どうやらレッドは俺が先輩たちとつるんでいるのが気に食わず、話を聞かない俺でなく先輩たちに文句を言いに言ったようだ。ただ殴られる程度ならよかったのに、程度が悪かった。二週間の入院、それが搬送された先の病院でレッドが言われた入院期間だった。
見舞いに行った俺も言葉を失った。「ざまあないな」と言って笑ったレッドに俺は言葉を返せなかった。度が過ぎてる。
だからさっさと適当に買った果物を机の上において俺は病院を去った。レッドのとめようとする声も無視して。
「あっれぇ〜、グリーンちゃんどうしたの!?」
先輩たちに直接会いに行けば嬉々として迎え入れられる。用件なんてわかっているくせにこの白々しさ、吐き気がする。
肩に回された手を払いのけた。先輩たちの笑みが薄らぐ。
「わかってんだろ、レッドのこと。頼んだ覚えないんだけど。」
言えば、その場に居合わせた7人、全員が卑しい笑みを浮かべた。どうやら、この場にいる全員が身に覚えがあるらしい。じゃあ今この場にいない奴等の中にもかかわったやつはいるかもしれない。そいつらにも話をつけにいかねば。
「そりゃ俺たち頼まれてしてないもんなー?」
さも愉快という風に先輩たちは互いに確認し会う。そのからかわれてる様な行動に無性に腹が立つ。気持ち悪い。
全員が口裏合わせたように「なー?」なんて返して、俺と応対していたリーダーの男が向き直った。
「解ってないようだから言うけど、つまりは俺たちの意思でやったって訳。」
なんでか解る?なんて聞かれて、こいつらの考えなんて解る訳が無いと返す代わりににらみつけた。
「だって俺たちの可愛いグリーンちゃんともう関わるなとか言ってくるからサー。」
「ふざけんな、お前らがほしいのはこれだろ。」
そういって、封筒を足元に投げた。いわゆる喧嘩代。毎月、面倒なやからを丸投げする代わりにこいつらに払っている金。中身は万札が五枚。俺の小遣い全部だった。食費などは別でもらっており、祖父のおかげか金に困ったことの無い家で、小遣いもそれほど貰っている。しかし、趣味も持ち合わせてない俺は費やすものなど無くてそのまま不良どもへ横流しにしていた。
俺が投げつけた封筒を見やると、先輩たちはソレを一瞥し、鼻で笑った。
「解ってないなぁ〜、だからさ。」
そういって男たちが立ち上がると、俺を囲んだ。
嫌な汗が流れる。
目の前にいた男が俺が投げた封筒を踏みつけた。
「金請求するだけならとっとと脅したほうが早いんだって。てかしたら五万ってこの人数じゃ少ないし。グリーンちゃんだから特別なの。」
俺たちさ、毎回可愛い後輩のグリーンちゃんの為って言ってるんじゃん?
言い終わるが早いか、後ろに回っていた男たちに拘束される。振り解こうにも力量差に体勢の不利が加わって力も入らない。
あごを思い切り掴まれ無理やり正面の男を見据える形をとらされる。
「グリーンちゃんがもっと可愛い姿見せてくれるならこの金もいらねえっての。」
「放せ…」
「やーだっ!」
そう言うと周りの男たちに今度は「グリーンちゃんの可愛い姿見たいやつー?」と問いかけを始める。「はーい」と下卑た笑みを浮かべながら男たちは返事を返す。見たことの無い生物のようだった。気持ち悪いという拒絶しか出てこない。頭の中を這いずる様な感覚に吐き気がする。
「じゃ、満場一致ってことで、」
やれ、そうリーダーの男が言うと、俺のサイドにいた男たちが俺のズボンをずりさげにかかってきた。
慌てて抵抗しようにも、足を持ち上げられてしまえば碌な抵抗もできやしない。
「グリーンちゃんショータイムスタートぉ〜」
楽しげに言う男のことを始めて殺してやりたくなった。
「ふぅ…、んぅっ!!」
必死に鼻で息をする。酸素を意識して取り込まないと窒息してしまいそうだった。楽しそうにしてるこいつらが憎い。今すぐにも首を絞めるかカッターで頚動脈を切りつけてやるかをしてやりたいまでに憎い。
しかし、手をガムテープで固定されてしまっては叶わない。
ついで、口までふさがれてしまっては悪態すらつけなかった。憎しみと苛立ち、その他諸々の感情が綯い交ぜになって涙となり落ちてゆく。
必死に足をばたつかせ快感に耐える。けれど筋肉が強張り頭の中に渦巻く激情をうまく逃がせられない。
下半身を露にされた状態で、名称の解らない機械をケツに突っ込まれる。突っ込まれただけで衝撃も痛みも圧迫感も充分過ぎたのに、機械が律動しだすものだからたまったものじゃなかった。
中を押し上げられる苦しみに最初はもがいていたが、変な場所に当たってから一気に快楽が押し寄せてきた。先に飲まされていた薬らしいものが催淫作用があるらしい、自身の脈打つ鼓動を初めて不快に感じた。
マゾヒストにでもなった気分だ。苦しいのに時々機械が変なところにあたって、そのたびに射精欲が押し寄せる。
「グリーンちゃん気持ちいー?」
楽しそうに顔を覗き込んでくる男が恨めしい。鼻息荒く睨み返しても相手は涼しい顔で観察してくる。
「つらそうだね。」と男はいって俺の下半身をみつめた。見つめられた先は既に勃っていて先走りまで流してしまいながら時々痙攣している。目を細めた男が、唐突に俺のを握ってきた。
一気に頭が混乱に陥る。しかし、俺の頭が正常に働きだすのを待つわけも無く、男は次の行動に移った。
ヤワヤワと強弱をつけながら手を上下に動かしだす。時折、爪で裏筋を軽くひっかかれる。鳥肌が立った。
「ふっ、んぅ、んーっ!!」
必死に塞がれている口で静止を請うも、当然止められる訳も無く、逃げをうった腰は、床に当たった機械が深く押し込まれたことで逆に差し出すようにしてしまう。
駄目だ、駄目だ…――!!
「ふっ…、んっ、んっ、ふぅっ…!!」
一気に倦怠感が押し寄せた。
頭を持ち上げるのすらだるく感じ重力に逆らわず床に落とす。男の手でいってしまった。こんな奴等にとんだ痴態をさらしてしまった。
もう起きているのも億劫で、暗くなっていく視界に全て委ねてしまおうとした時、
いきなり強引に起き上がらせられた。
「んだよ、お前最初かよ」
なんて周りのやつらが言っていて、何のことだか理解できないでいると、「どうせならココでやってもいいんだぜ」と付け足されて嫌な予想が頭の中に構成されてゆく。「やだよ、なんで他のやつ俺のみせねーといけねーの。」「ばっか、俺だってお前のなんか見たくねーよ。」なんて会話がされたことによって予想の裏打ちがされてしまい、俺は必死に抵抗しようとした。
しかし、脱力感に未だに襲われていて、後ろに突っ込まれている機械を更に圧されてしまえば足が崩れ落ちてしまった。そのまま腕に抱え込まれ別室へ連れ込まれた。後ろから「あいつの精液まみれのとこに俺ら突っ込むの?やだー」「本人にココで掻き出させれば良いだろ」なんて言葉が聞こえても、絶望を煽るだけだった。
連れ込んだやつが、俺の後ろでジッパーをおろす音が聞こえた。逃げようとする俺の腰を抑える。強引に機械を抜かれ、腸が引きずられる感覚に吐き気を覚えた。
「じゃ、おっじゃましまー、す…」
その言葉に、穴に密着した感覚に、本当に入れられるのだと実感する。
コイツの生きた種が、俺の中に、…
「ッ――!!!」
実感するとともに襲い掛かってきたのは、他でもない恐怖だった。
入れられてしまえば、中でこの男の精子が、俺の腸の中で蠢き、おそらく今逃げなければ他の奴等のも出されるのだろう。必死に足をずらし、逃げようと試みるも、元から筋力負けしていたのに腕を後ろ手に拘束され、一度欲を吐き出した体は本来の力すらも発揮されず、抵抗も小さく終わる。
「今更だっての、グリーンちゃん?」
楽しそうな声を最後に、俺は本当の絶望というのを味わった。
end
もしかしたら、続くかもしれない。
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