ホラ吹き※GSF企画(康緑)
ホラ吹き
俺たちの関係はもうすぐ終わるだろう。
リーダーに勝っていったゴールドという少年がある人に勝った。
そのある人というのは、レッドという少年で、リーダーの幼馴染でありライバル。そして、
リーダーの片思いの相手だ。
連絡があったのは先ほど、嬉々とした声がポケギアから漏れて聞こえてきて、リーダーはつられて嬉しそうにしていた。
しかし、電話の相手の声のトーンが下がったときに彼は不思議そうな表情をしたあとに少し曇った。
窓のほうを向いて話をしていたグリーンさんの後姿を黙ってソファに座りながら眺める。
そして電話を切り終えた後に聞いたのだ、どうかしたのかと。
ジムトレーナーである俺とリーダーという上下関係以前にグリーンさんは俺の恋人、向こうも認めたうえで付き合っている。
そんな甘い響きをもった関係なのだから、相手のことを気遣うのは当然。
そうして語られた2つの事実。
レッドにゴールドが勝ったということ。
ゴールドに負けた後レッドは忽然と姿を消したこと。
ここから俺が推測したのは、そろそろレッドはグリーンさんに会いにくる。
俺は実際に見たわけではないが、チャンピオン戦の中継でレッドはグリーンさんを気にしていて、ソレはトレーナーの動作を注視していた者であれば気づいているものは他にもいた筈だ。
「レッドいつも勝手なやつだからさーわっかんねえんだよなー」
間延びした口調、倦怠感丸出しの態度。俺に身を預けるように膝の上でゴロゴロとしているリーダーが彼の身を案じているのは解っている。
そして彼をこんな態度にさせる彼、レッドに対して俺が醜い感情を抱いているのも解っているし、心配しているグリーンさんに対して俺がどうにもできないことも知っている。
コレでも20にはいってないものの、それなりの人生を歩んできたつもりだ。ソレくらいはわかっている、頭では理解しているつもりだ。
そう、頭で理解しているだけで、心までソレにあわせて動くわけではないのだが。
「なーヤスタカー?」
「なんですか?」
「お前はさ、俺とずっと一緒にいてくれよな。」
おいてくなよ、というリーダーに対して俺はもちろんです、と柔らかいグリーンさんの髪の毛を撫でながら決まりきった返事を返す。
それはどっちのセリフなんだか。
そう、俺の返答なんて決まりきっている。
一生をリーダーにも、グリーンさんにも捧げて良いと思っている。むしろ、捧げたいとすら思う。
けれど、グリーンさんもそうだという訳ではない。
彼はきっと帰ってきたら俺から『グリーンさん』を奪おうとする。
そして『グリーンさん』もきっと応えてしまう。
俺はグリーンさんが幸せになることを祈っている。
幸せであればいい、だなんてきれいごとだけれど。俺がそこに居なくても横にいなくてもいい、だなんて言うには残酷で胸が裂けてしまいそうだけれど。
俺はツラいんです。
あなたに幸せになってもらえないこと。
あなたが寂しそうにしていること。
ずっと一緒にいてくれ、おいてくなよ
なんて残酷な嘘。
グリーンさんが俺を置いていってしまうくせに。
置いていきませんよ
まだ追い付いてすらないのにおいて行くなんて、出来る訳ないじゃないですか。
俺といても進展があるわけではないだろうけど、甘い安寧の巣の中にはいれるのに。アナタは居座ってはくれない。
グリーンさんは置いてかれる身のつらさは身をもって知ってるくせに残酷ですよね。
嫌いになれるわけもないんですけど。
俺もグリーンさんと同じで、意地っ張りなんですよ、だから本当に想ってる相手に「置いていかないで」なんていえないんです。
だから、ごめんなさい。
「ねえ、グリーンさん」
「んー?」
「もう、限界なんです。」
――別れましょう。 ――
end
GSF企画という素晴らしい企画に参加させて頂きました!!
cloeさん素敵な企画をありがとうございます!
参加表明した一日後にはあげるという暴挙をwwwwwwww推敲しないのバレバレですねwwwww