変態とは言わないで(藤様へ相互記念)


変態とは言わないで



とある前髪が爆発している後輩が聞いてきた。
「彼のどこがアンタをそんな風にさせてんだ。」
眉間にシワを寄せながら聞いてきたんだ、理解できてないのだろう。彼の魅力に気づけていないならば、教えてやるしかない。

僕は、そこから彼、グリーンの魅力を存分にかたりだす。もちろん文面で。そうでないとあまり喋ることに使われない口は疲れてしまうから。
最初には、惚れたら殺すとしっかり書いておいて。

ん?魅力がわかんないなら怒るくせに惚れたら殺すなんておかしい?我儘なのは知ってるよ。そんなことより彼の魅力だ。

まずは、外見で言えば異邦人を思わせるような髪の毛が目につくけれど髪質が神秘的なんだ。一見、ツンツンと硬質な触り心地を予想するだろうけど実はかなりフワフワ。それはもう彼のウインディの毛並みもさることながら顔負けするほどに、ウインディだってそこは高らかに鳴いて肯定している。
そしてよく見ると目なんて高級な蜂蜜みたいに透明で澄んだオレンジ。そしてかつてのポケモンをかつてのままに閉じ込める琥珀を思わせるような深みがある。
あの瞳で見つめられるだけで僕はイけるよ、断言する。

髪の毛も瞳も色素が薄いんだけれど、それでも映えるのはあの絹のように柔らかくも男らしさも感じさせる白い肌かな。よくみると産毛程度にオレンジの色が見えるのがまた良いんだよね。それすらも稀なんだけれど。

あと内面的なら素人なら高飛車な生意気坊主ってグリーンの事言っちゃうんだろうね。まあ、もう玄人レベルのグリーン上級者の僕なら何が本音で嘘かなんて仕草を見れば一発だよ。グリーンを完璧に理解しているのは僕だけで充分だけれど、ナナミさんから認められてるならせめて中級と言えるくらいには理解してあげてよね。
まあコレは素人だろうと知ってるんだろうけどグリーンは可愛いものが大好きだから戦うときには絶対モフモフ要員を用意しておいてね。


は?トキワにいる女がクールでカッコいいって?そのミーハー誰?どこにいたの、


だそうです、女の子が危ないんで助けてください。


グリーンから向けられた画面をツラツラと読み上げていく。
コレは、自身がゴールドとメールをしていた内容だからさっさと読み上げることができた。
最後の二文位はゴールドが書いたらしいものだが。

「コレが?」

どうしたの。真っ先に思った内容がソレだ。そのまま声に出したらグリーンは信じられないといった風に目を見開き画面をみやる。
うん、グリーンの魅力をかいつまんで書いたのがいけなかったのかな、不備があったのか、もっと違う魅力を教えてほしかったのか。

「かいつまんで書いちゃったけど魅力書かれてないのあった?」

と、また率直に聞いたら今度は「そうじゃねーよ」といったあと盛大にため息をつかれた。
ああ今ので大体わかったぞ、文章も不満らしいけどどうやら一番の不満は最後あたりらしい。

「別に女の子のこと殺さないよ。痛い目みてもらうだけ、」

勘違いはたださないとね。といったところで頭を叩かれる。ふざけんな!って僕はふざけてなんかない、至って真剣だ。

だって、

「ファンなのは構わないけれど、こんなにも可愛いグリーンをクールだなんて、よく知りもしないでグリーンを語らないで欲しいね。」

うなじをなであげグリーンを抱き寄せる。唐突な事に驚いたのか対応できずにわちゃわちゃとあわてふためき距離をとろうとする様はやっぱりいとおしい。

「ッの!!可愛くなんかねーよ、離せ!」

「離す訳ないでしょ。」

そういって脇腹を撫でれば服の上からでもビクリと体を震わす。

「びーんかんっ」

「う、うるせーっ!」

離れようなんてどうやっても無駄と理解したらしいグリーンは上目遣いで「コ、ココですんのかよ?」とあり得ない風に聞いてきた。確かにココはトキワの外れで野外。普段人が全く通らないとはいえ保証はない。

「たまにはこういうシュチュエーション燃えない?」

「シチュエーションな!まったく燃えねーよ!離せ!」

止めるわけも離す訳もないと笑顔で返せば流石、意味を察したグリーンの溜め息。そんなに溜め息ついたら幸せ逃げちゃうよ、まあ僕が逃げたぶん以上に幸せにしてみせるけど。

「変態…」

小さなグリーンのぼやき。
変態とは心外な。だって、俺は



グリーンを愛しているだけなのに。


end


相互記念に。藤さんに捧げさせていただきます。



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