ホラ、



青い 青い 澄んだ空
真夏のどこまでも広がるそんな空じゃない 
綺麗だけど 寂しい 夜の月に輝く宇宙の色 そのまんまで
人は 俺が閉じ篭っているといった
そんな世界の殻に 閉じ篭っていると言った
姉は 俺に アイツを忘れろといった 閉じこもるなといった 待つなといった
でも
俺は閉じ篭ってない ずっと開け放してる
開け放して待っている はやく戻って来い 居場所はうばわねーから って
でも 待っとく必要はなかったみてーだ
だって ホラ
殻って奴は お前が破ってくれた 壊してくれた
みんなだって破れたんだろうけど 誰もしなかった 出来なかった ホラ 出来るのはお前だけ

だから見えたのは お前の顔 首 肩 鎖骨 腕 胸 腰 外が見えたのなんてほんのちょっとだけ
つまり ほとんどの世界がお前ってわけ
だけどな レッド
俺 知ってんだぜ。お前のことどれだけ見てたと思ってんだよ
ホラ ホラ 表情 表情の筋肉の動き
その すべてを 見て 覚えて 記憶して 思い出しては悦に入る
それが 「糧」だった俺だぜ
目元の筋肉 ほほの筋肉 一瞬こわばる筋肉
ソレはお前がロケット団達とか嫌悪を覚える相手に見せてた表情だろ?
知ってる 知ってる だってお前と俺だぜ? 解らないのなんて殆どない
世界からしたら 俺 ロケット団と 一緒らしいぜ ははっ
レッドが嫌いなロケット団 消されて当たり前 消して当然
だから消された 消した レッドが消した
大嫌いなロケット団を
でもな レッド 隠すのは 俺が 個人単位だからなんだろ? そう犯罪 世界の決めた罪 消すのは犯罪 だから消せない 気取らせない
だから ホラ みとけ
悪の終わりを

「…グリーン?」

このときは珍しくきょとん顔 ホラ いつもの表情は? それにしてもこんなところによく半そででいれるんだな、
常人がワイシャツにジーンズでは頂上になんて来ないからな
驚いて 当然
お前は別なのも 当然だけど
だってお前は俺の世界なんだから
簡潔にいえば お前は 俺が 嫌い
知ってる いわないで 知ってるから
言われたら お前 知んないかもしんねーけど 繊細なんだぜ?
そんなこと言われたら 心がくだけちまう 壊れちまう
だから先に言わせろ レッド 俺だけに言わせてくれ
告白なんて 甘いものだけでいい
トゲトゲと吐き出したくなるようなものは いらないんだ

「レッド、好きだった、愛してる。今も昔もずっと、ずっと、嫌いなときはなかった」

返事はいらない 聞きたくない
だって なんで今聞かないといけないんだ、 せめて終わりは 美しく
ホラ 世界は美しい 驚いた その表情も
世界のすべてを愛している。
だから俺は世界には大嫌い宣告はさせない
言葉に言葉を重ねて連ねるんだ 愛の言葉を

「グリーン…ねぇどう「これからもずっと、頂点に立つんだろ?負けんじゃねーぞ」

じゃあな

さすがに喪服は切れなかったけど
ホラ 悪はお前の世界からコレで完全に消える
目の前で消えたほうが安心するんじゃねーのっていう俺の気遣い
別にみせつけるわけじゃねーよ
だから
ホラ ホラ ホラ
その目に その記憶に 脳に ホラ 刻み付けろよ 最後を
それで今度はお前が喜べよ 記憶に悦にいればいいんだ
今日はクソヤローがいなくなった記念日になるんだ、
お前を押しのけて 頂点から 落下
真っ白に見えて 実は 灰色のにごった 世界
それがお前のすべてだったんだな
大丈夫 その汚点は今日で消える
ホラ
お前の世界も俺には見える
おれはお前を見てきたんだから 俺には見える

…でも

でもな お前のその表情は わかんなかった
お前の嫌いなものが消えるって言うのに
なんで
手を伸ばして
飛び降りた俺に届かない手をのばすんだ
あせるんだ
リザードンを出すんだ まにあわねーよ
だって お前 下には興味なくて見なかったかも知れねーけど
この下には…

ホラ

 もうすぐ


ゆれる 視界 体躯
視界が一瞬真っ黒になったと思ったら
ホラ
世界の象徴の 真っ赤な綺麗な色が飛び散る
ホラ
下には落ちたやつを受け止めようとする奴がいるんだ。 俺は下を幾度となく見てきたから 知ってる だから利用できる
世界が掬い上げるより 世界から零れ落ちるスピードのほうが速いんだよ
ホラ 頂点がふさわしいお前は ココを降りてこられないんだ
吹雪が邪魔をする だって世界が下るなんて ありえない

まあ 予想してたのだったら 即死だったんだけどな この近くにそそりたっている岩のとげに刺さり損ねた おかげで多量出血で 体はどんどん冷えていく

寒い 寒い 寒いよ 何が 心が
震えるんだ だってホラ
空には俺の肉を食おうとするウォーグルがいる。 俺が死ぬのを待って旋回している
ああ、降りてくるな 降りてくるな
だがいつしか おりる影から 更に影
それは俺がいとしいと思っていた世界の色で そういえば そうだったと 錯乱している脳みそに漠然と思う
そうっとのばされ 抱きすくめられた体にボロボロな砕ける違和感
そうだ 俺 今 汚いんだ
やめろよ はなせよ よごれちまうだろ
「いやだ」って返された声が震えていて そうかコイツも寒がるんだと
思う そう思う 思い込む
俺が世界に愛されるなんてない
ありえない
だって世界は俺の殻を壊した

だからこう言ってやった
最後の最後くらいは 世界の甘すぎるわなにはまってやる

「大好きなんだから、嫌いなんていうなよ、レッド…」

だって結末は俺にはわからない
レッドに手を回して


そこで俺は目を閉じた




なんで僕を置いていくの
そうやって 言い逃げだなんて
ズルい ズルすぎる

気が付いたら いつも君のことを考えていて
ずっと 気持ちがわからなかった
やっと 気持ちがわかったというのに

ホラ 君は体も辺りも真っ赤にして
気持ちを体現してくれる

だけど 赤く染めても 雪はかき消しちゃうんだよ

そんな やり方おかしいよ 想いまで消さないで
消えてしまう 君に 僕は どう想いを 伝えればいいの

ホラ 雪が消していく


「愛してるよ……」



サヨウナラ。



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