浴場にて欲情


一部にモブグリ要素あります。


レッド、グリーン、ナナミ、レッドの母の4人は温泉にきていた。旅に出る前にレッドのかーさんとおれのねーちゃんが元気な状態で旅に出れるようにって提案してくれたものだ。
そりゃ旅に出たらみんなバラバラだから嬉しかった。
おばさんとねーちゃんと別れ、服を脱いでるときにレッドの奴がおれの足をみながら話しかけてきた。

「ねえ、それ何で?」

レッドの視線の先には足にゴムを通してある鍵。
レッドのやつ、おれの発想力に嫉妬してんのか?
コレが意外と邪魔じゃないのだ。手に着けていると頭を洗ってるときにちょこちょこぶつかってくるし、キラキラと視界で存在を主張していてかなりうっとうしいが、足につければ歩いてるときにチャリチャリ音をたてる程度である。
しかし、レッドからすれば冗談ではなかった。彼は密かにグリーンを好いていたため、同性愛について自室のPCでこそこそと調べていたりしていたから知識があるのだが、男性が足に鍵を着けるのは「私はゲイです。」と宣言しているのと同義なのだ。
当然、そんな宣言を公然でしてしまえば他人を誘っているようなものだ。
だから、グリーンが大好きなレッドからすればそれは当然誘うのも、誘いに乗るやつの存在もよろしくない。

「鍵、手につけてよ。」

普段のぼやっとした口調はやめ、ハッキリと言ってやるとグリーンは少し驚いた後に、ニヤリと意地の悪そうな笑みを浮かべた。

「ははーん、レッドてめーおれの発想力にシットしてんだろ」
「してない変えて」

さっさと思ってもいない言葉を否定して本題に戻そうとするが、グリーンは一瞬の内に否定されたのが面白くないのか頬を膨らませ、そっぽを向く。

「やーだね、レッドのくせに指図すんじゃねー!」

あからさまに不機嫌丸出しのグリーンに対して、レッドはさらに不機嫌を丸出しにする。しかも彼に至ってはしびれも切らし強行手段にかかりだした。

「うわっ何しやがるレッド!」
「いいから、変えろ。」

グリーンの足をひっつかみ、輪ゴムを取ろうとするが、その事をレッドをライバル視しているグリーンが「はい、そうですか。」と見ているわけもなく、
「っこのー!」

「!!」

グリーンは掴まれていた足を思い切り振り上げる。予想だにしていなかった動きに足を握っていたレッドは完全に振り回され後ろにこける。
その時に腰に巻いたタオルからグリーンの自身がチラリと見え、「チラリズム………!!!!!!」などと脳内で鼻血を吹き出していた彼は受け身を取り損ね、背中を床に強打することになった。

「レッドのばーか!」

そういって、痛がるレッドをおいてグリーンはさっさと浴場内に走っていってしまった。閉まった扉は曇っており視界の妨害をしてくる。
そこでレッドは本格的に焦り出した。
まずい、このままでは浴場内で走っているグリーンが転んだ拍子に良くない輩が偽善をもとに近付き、くっついてしまう。
それは良くない、なんとしても阻止しなくては。
しかし、急いで浴場へと繋がる扉を開いてもグリーンの姿は見当たらなかった。
さっさと中へ入り、辺りを確認する。彼は、入浴の際に体を洗う前に湯船に浸かることはなかったはずだが、きっと自分の存在を危惧して隠れているだろう。
隠れれる場所はサウナ、影になっている浴槽、露天風呂。
結論付けてさっさと浴槽を見に行く。サウナが一番近かったが、耐え性のないグリーンだ。あんな暑いところに隠れている間ずっと入っていられるはずがない。

そのころグリーンは絶え間なく流れる汗を拭いながら心の中でにししっと笑っていた。
まさか、レッドも俺がサウナにいるとは思ってないだろう。
グリーンはよく解らないところから出た自信に心を踊らせていた。結果は確かにレッドを欺いてはいるが、ただ、単純に、周りが木でおおわれ、外からは中が見えない箱という理由から隠れただけで、レッドの思考のそれではない。つまり、レッドの深読みである。
ふと、辺りを見回していたグリーンの視界に少し肥満体型の中年男性がめにはいる。他に人もおらず、暇をもて余したグリーンは彼の近くにちょこんと腰掛け、足をみながら話しかけた。

「おっさんも、足に鍵つけてんだな。」

他意はない。当然だ。グリーンはレッドが知っていたゲイ宣言を知らない。
しかし、太り気味のおっさんはグリーンの言っていた「も」という言葉に反応した。
男は誘いと勘違いしてグリーンに対してビッチという印象を覚えつつ、誘いに乗ろうと振り向き、固まった。
なんせ、そこにはまだ幼い少年がいて、しかもそうそうお目にかかれるようなレベルではないほどに綺麗な容姿をしていたからだ。とくに、きゅるんとした猫目でオレンジ色の睫毛が可愛らしく、目を見張る。口調も若干生意気で男の劣情をそそる原因となる。
「へぇ、君もなんだ。」
見とれ、固まる口からなんとか声を男は絞り出す。すると少年は「まーな!」と返してきた。
男は同性愛者の意味合いで君もと言ったのだが、グリーンは足に鍵をつけてる意味として同意したのだった。
するとグリーンは足をプラプラさせながらポツリポツリと話し出す。

「レッドのやろーがな、コレ外して手につけろーって、言ってきやがったんだー。」

レッド、一緒に来ている彼氏だろうか。それならば確かに誘うように公共の場で宣言されたくはないだろう。と男は思考して、少年を食べようとしてる自分の事は棚に上げ、自国の性事情に呆れていたが、グリーンが発した言葉に疑念を持つこととなる。

「ぎょーぎわりぃのかなー?思わずはったおしちまったけど…なんでだろーな?」

足につける意味を知らないのだろうか。しかし先ほど彼は同意したハズ、いや足に鍵をつけてる意味として同意したのなら辻褄はあう。

男はグリーンが同類でないと気づく。
……しかし、気付いてない振りをした。

「君、名前は?」
「俺か?グリーンだ!」
ニカッと太陽のような笑みを向けられる。この笑顔は行為をこなした後にどうなるのだろうか。そう考えると男は口許に卑しい笑みが浮かぶのを抑えきれなかった。

「おじさんと楽しいことシようか。」

グリーンはキョトンとした後に是と答えた。


グリーンがどこにもいない!影になっていたバスタブには一通り目を通し、露天風呂のほうも覗いた。しかしおらず、なら、洗うところにいるのかと探したがいない。向こうが様子を伺いながら隠れているのか逆回りで探してみたりもしたが、とにかく見つからない。
いよいよ苛立ちも焦りも最高潮に達し、絶叫しながら泣きたい衝動にかられた時に目に入ったひとつの扉。
最初から無いものと考えていたが、まさか。

急いで扉の前にまで駆け寄る。
小さな窓からは蒸気で中が見えない。
舌打ちしながら耳も澄ませてみたが、どうやら音も聞こえないので何事もないのだろう。グリーンが襲われているのを危惧したが、同性愛者もそうそういるわけではない。取り越し苦労と一息つこうとした時、

「ひっ…………ぁ………」

どこか恍惚とした響きのあるグリーンの声。
出来れば聞き間違い、人違いであって欲しかった。しかし、「グリーンに対する好きはライクじゃなくてラブだよ!」と本気で思っているレッドがグリーンの声を逃すわけもなくハッキリと認識してしまう。
グリーンが襲われている!

認識してもなかなか扉を開けれない。
もし、もしグリーンが、嫌がってなかったら?
僕を邪魔者扱いしたら?
本当に同意の上でだったら?
そう考えるとうごけなかった。

「ゃだ、…っぁ………」

!!!!

あとはもう無意識で扉をあけていて、ムワッとした熱気でなく、視界に入ってしまった光景に血が上る。
頭が真っ白だ。
グリーンが拒絶する言葉を吐き、開いたそこには、壇の上男に押し倒され目を潤ませ、体内の熱さに上気し息を荒くしているグリーンがいた。
腰に巻いていたタオルはもはやまとえていなくて、下にしいてある状態だ。しかし、それによって見えるであろうグリーンのそれは中年の男の大きくブヨブヨした手に包まれて見えなかった。
しかも力無く息を上げているグリーンの腹には白濁が撒き散らされていた。

触るなんて、

触るなんて触るなんて触るなんて触るなんて触るなんて触るなんてあのグリーンに触るなんて!!!!!!
許さない!!!!!!

レッドの頭の血管がブチ切れるタイミングで、グリーンのろくに慣らされてないだろう後口に入るワケのない大きさの男のそそり立つ自身が宛がわれる。

ブチ切れたレッドが室内に入ってきたのに気付かずに男は腰を進めようとした。
「おじさん。」

男の肩が揺れ、振り向くというモーションすら許さずに、レッドは拳を振りかざした。
そのまま振りかざされた拳は男の頬に見事あたる。それはもう室内に骨が砕けたような凄まじい音を響かせて。
壇上から転げ落ちた中年男を見下す。
当然、男は文句を言おうと鬼のような形相でレッドに向き直るが、レッドの視線だけで殺人を犯せるんじゃないかという蔑んだ赤い瞳に竦み上がる。

「グリーンにてをだした罪は重いよ。」

と一瞥し、男の象徴を踵で思い切り踏みにじる。いくら、11歳の子供といえ、旅に出るため鍛えられ、将来雪山のひきこもりとなる才能をもつ子供の技が急所に当たったとなれば、………御愁傷様としか言いようがない。
男は青ざめ、一瞬体を強ばらせた後気絶し、それを確認してからレッドはグリーンに駆け寄る。

「大丈夫?」

十中八九大丈夫ではないだろう。しかし、自殺してしまうんではないか、心を閉ざしてしまうんじゃないか、身売りしてしまうのではないかと良からぬ心配が頭の中を這いずり回り訊かずにはいられなかった。
上体をあげたグリーンは、虚ろなその瞳にレッドを映した後に泣きそうな表情をして眉を垂れ下げた。
珍しく弱気な表情を見せたグリーンにレッドは驚きわたわたと慌てて、気付いたときには視界がオレンジ色になっており状況を把握出来ない。
このイーブイの首元の毛のように少しだけ硬質で、フワリと柔らかい触り心地は、などと呑気に考えていると肩からひゃくりあげる喉の音が聞こえてくる。

「べ、別に泣いてなんか、ぇぐっ、ねーんっだから、な!」
「……うん…」

なんてこった。グリーンが、僕に、抱き付いている。
頭がぐわんぐわんする。どうしようか。襲ってしまえばそれこそトラウマになってしまうよな。きっとグリーンは、受け入れてはくれないのだろう。
だから、自分を抑えるためにグリーンの事をそのまま強く抱き締めた。フワフワとした髪の毛が心地よくて癒される。くびもとから聞こえる泣き声が一際強くなった気がした。

「ふぇっひぐ、えっ、えっ………ばか、レッ、ド!怖かったんだ、かんっな!」
「………うん、ごめんね」

本来なら僕が怒っていい場面だったのだが、普段からは考えられないほど素をさらけだし、素直にわんわんと泣くグリーンが可愛らしくて早く見つけてあげれなかったことを謝る。

しばらく泣きじゃくったあとに、サウナ室からでたあともぴったりとくっついて離れない挙げ句、更に手をこっそり繋いでくるし、不器用に「その、これからはレッドの話きくから、」と謝ってきたときには卒倒してしまうんじゃないかと思った。

言葉の真偽なんてどうでもいい。


(これは脈アリってことでいいんだよね?)




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