英雄の最期はろくなもんじゃない。(N)
アンノウンとお友達。
そういえば、誰もが首をかしげる。
当然と言えば当然だ。
なぜならイッシュではアンノーンは確認されていない。それなのになぜ、僕みたいなずっと違う友達と幼少期を過ごしてきた奴が遠い他地方のポケモンと友達だなんていえるのか。そう問われれば、それもまた当然と言えば当然で、それは、遺伝子レベルで彼らと繋がっているからだ。
僕自信の目で見たわけではないが、ジョウトのアルフという遺跡に主に彼らは存在し、まだ公にはなっていないものの、床にまるで天井から見るためのように刻まれた古代文字がある石室が存在するそうだ。
かつて人間はアルファベットとという文字を活用していたらしいからきっとそこからアルフという遺跡の名もついたのだろう。今の人間はきっとそんな理由も知らずにその名を使うのだから面白い。
話はずれたが、その古代文字が床に刻まれた石室は幾つかに別れていて、その内容を繋ぎ合わせるとなんとも奇妙な一族の眉唾物の話がわかるそうだ。
なんでもその一族は、昔、普通にポケモンと人間の癖に関係を持っていたが、やがて、遠い地に去っていってしまったようだ。
全く以ておかしな話である。
そして、その一族の末裔というのが、この「僕」でにわかに信じがたい話を僕自身の存在がすでにいやがおうにも証明してしまっているのだから本当におかしな話だ。
色濃く受け継いだ英雄(ハルモニア)の血は、呪いかのように僕を蝕んでいたが、嫌なきはしなかった。
「N、この間七賢人の奴が、またエゴで人を動かしてたんだ。」
僕の友達はこうして人間の隠そうとしている事実を見ていて、僕に教えてくれるから、この呪いも嫌な気はせずに受け入れられているのだ。この呪いがなければ、それは成立しえなかったことで、少なからずこの力には感謝している。
この力のおかげで僕は人間に染まりきれずにいるから、汚い騙し合いに巻き込まれずにすんでいるのだ。何を嫌悪しようか。
「この後の会議で、言っておくよ。」
教えてくれた友達に笑顔でそう返すと彼は不思議そうな顔で純粋に訪ねてきた。
「どうしてみんなポケモンみたいに使われるんだろうね。あいつらは痛い目みないで、痛いのは自分なのに。自由なのに自分で縛ってる。」
その答えは解らない。きっとゲーチスの巧みな話術についてきたものは多く、完全な共同した意識、目的という訳ではない。
友達には曖昧な返事を返し、自室を後にする。
かつて、英雄はアルフの地を去り、イッシュへ来た。そこで彼と言葉を交わし、この地を治めた。
そうするのが、ポケモンにとってプラスだったからだ。
ならば、僕も大好きな彼らに英雄と同じように世界をくれてやろう。
何者にも束縛されない自由な世界を。
そのあと僕はルーツを辿ってアンノーン達に会いに行こう。彼らが存在しなくても、石室の文字だけでも目に焼き付けよう。英雄に置いてかれても健気に生きてきた彼らの痕跡が見たいから。
だから、僕は英雄のようになって新しい世界を作り出すんだ。
英雄の最期なんて僕は聞かされてないんだから。