かくれんぼ




もーいーかぁーい…




まぁーだだよー






もーいーかぁーい………



………………………


返事は来なかった。

きっと隠れたんだろう。返事をすれば、音が居場所を教える。

だから、待つのをやめて、探しに行った。
けれど、どこをいくら探してもレッドは見つからない。
向こうは探せない俺や隠れているときのいつ見つかるかもしれないと言うドキドキで高揚を感じている筈だ。そしてソレは空気にも伝染する。
しかし、空気は恐ろしく静寂を伝えていて静けさに恐怖を覚える。まるで、フラッシュが必要な洞窟に一人でフラッシュなしでおいてかれたような。
怖くなってレッドの名を呼ぶが返事は来なかった。きっと隠れているんだろう。
太陽が沈んできた。きっとスグに暗くなる。
レッドは強かった。きっとふっと出てくるだろう。
探していた草むらをでて家の方向に向き直る。

すると何かが足に絡まって転びそうになる。
なんだろうと振り替えるとソレは手だった。
レッドの物ではない。
ゴツゴツとした大人の腕。
ソレが俺の左足を掴んで離さない。
それどころか、草の中へ引きずり込もうと引っ張ってくる。
ガサガサと揺れる草むら。
ポケモンは生憎家に置いてきた。レッドは確か連れていたため、助けて欲しいと何度も「レッド」と呼んだ。
草むらは一層揺れる。
ソレと同時に足を掴む腕が強くなる。
ズルズル、ズルズルズル………
徐々にパニック寸前の俺の視界にふと赤いものが映る。


「グリーン!!」

遠くからじいさんと姉ちゃんが呼ぶ声。
姉のナナミと祖父が自分に向かって手を振っている。
「姉ちゃん!!じいさん!!」
必死に反応を返すと、姉が走ってくる。少し険しい表情で。

掴んでいる力が一瞬弛んだ。訳が解らないまま、足を振るとあっけなく解放された。
チラッとみた引っ込んでいく腕には同い年くらいの子供の手が食い込んで赤を流してた。

そうだ、姉ちゃん達に呼ばれる前、見えた赤はレッドの瞳だ。
視線を上に上げると安心したと言わんばかりのレッドが見えた。
口には只でさえ無口なのに喋れないように猿轡をされていた。

ソレを見た途端頭が真っ白になり、草むらに突っ込もうとしていた。が、姉が制す。
「グリーン!!」
姉ちゃんの少し怒ったような声が頭の中に入り、そのまんま出ていった。
「レッド、レッドっ、レッドが!」
姉ちゃんは解っていると言わんばかりの勢いでスグに草むらを掻き分けてくれたが、既にレッドも犯人もいなかった。
姉ちゃんも見たのだろう、一緒に探したが見つかることはなかった。


それから、三年後。
シロガネ山の赤い亡霊という都市伝説が流行った。


END

いや、なんかかくれんぼしてたらレッド誘拐されちゃったみたいな。
で、閉じ込められて三年後脱出したは良いけど道が解らなくて山から降りれない感じ。←
死んでないよ、死んでない。多分。
このあとレッドを探して会うんだけど、何があったか言わないし、降りようともしない。みたいな!



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