トリックエンド(ハロウィン)ゴーグリ?



「トリックェントリィツ!!」
かなり発音良く常套句を吐きながら扉を叩く。
なんでエクセレンツな発音が出来るかって?俺の潜在能力が牙を剥いた………っていうのは嘘で、本当はシルバーに教えて貰ったんだよ。
シルバーは俺にお熱なのは知ってるし、俺自身シルバーが本命なんだけど、今日は俺を馬鹿にした先輩にイタズラをさせて貰おうって事だよ!俺だってガキじゃないって思い知らせてやらないとな。
いやいや、大人もハロウィン好きだろ?する時点で子供とかじゃねーって。

ジムトレが扉の向こうで誰かと話しているのが見えた。コッチをチラチラ見てる辺り俺関係の話だな。
聞き耳をたてると思いの外簡単に聞こえてきた。というか、先輩の声がデカイ。

「ぜってぇ開けんな!!」

子供を門前払いってココのジムリーダーはどういう神経してんだ。
こうなったらアレだな。うん、アレだ。
負けじと声を張り上げ、わざとらしさを全面に出す。いや、コレは自慢じゃないが大根役者顔負けだぜ?

「そんなん言っていいんすかね!?あーあー仕方ねーな、バクフーン!!」

するとバタバタと騒がしい音がし続けざまに扉が開く。
「フザケンナ!」と怒声を浴びせてきた彼の整った顔よりも先に両手を確認する。
その視線の先にグリーンも手を確認し、俺のニヤニヤ顔を見る。
……………
………………………

察したらしいグリーンの額からは汗が一筋。
こめかみをピクピクとひきつらす。
沈黙を破り、勢い良くグリーンが扉を閉めようとしたためすかさず足を間に入れ、妨害する。

「あっれれー?先輩、愛しの後輩が来たってのにお菓子はどうしたんスか?」

ニヤニヤしたまま中に無理やり体を捩じ込む。
無言のまま後ずさるグリーンに更に明白となっている事を確認する。

「だったらイタズラしないとッスね」

言い終わると同時に彼を押し倒す。
首元に顔を埋めて少し出した舌でチョロッと舐めただけで先輩は「ひゃんっ!」とあられもない声をあげた。
コレは幼馴染みが調教しているのかも知れない。随分と感じ…………

ズルズルとグリーンから自分が離れていく。
「ゴールド君」
これまた最近良く聞く声なこって。
嫌な予感がしつつもゆっくりと振り向くととても良い笑顔をしたヤスタカがいた。無論俺を引きずっているのはコイツ。
「なんなんスか「トリックオアトリート」
カタカナ読みでヤスタカが言ってくる。俺の方が発音綺麗だな。
で?

「イタズラの覚悟は出来ました」

「そう」とにこやかに返される。
しかし、イタズラはされず更に引き摺られる。
「え、ちょ………?」
「今君へのイタズラは一番これがいいと思うんだよ」
ヤスタカが良い終えるとにこやかなまま俺を外に放り投げる。
まさか
地面にキスしたのも気にせず落下→起き上がる→振り返るの動作を物凄いスピードで行うが、時既に遅しで扉は閉められてしまっていた。
しかも扉の向こうでグリーンを抱き寄せながらあっかんべーとしてきやがったもんだから、俺は沸点をマッハで通りすぎるのを実感しました☆

某赤い人に言ってやる。ソレが俺からのイタズラだ!

「ヤスタカぁー、トリックオアトリート!」




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