るー様よりいただきました!


今年の願い(南倉)
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寒さに身体を縮めながらどこか遠くを睨んでいる紫色の髪を持つ少年は、もう我慢ならないとばかりに携帯電話をポケットから取り出すとどこかへ電話をかけた。
すぐに相手は出た。


『うっ……はあ!すみま、せん!今走っててっ…………あっ見えた!』

そう言うとぶつりと一方的に電話は切られ、待たされていた少年は不愉快そうに携帯を片手に持ったまま先程と同じ方向を見ると、転びそうになりながらも走ってくる人影が見えた。

徐々に大きくなってくる影は目の前までやってくると、大きく息をしながら座り込んでしまった。

「はあ、はあ……すみませ、南沢さ…今……ちょっと話せな…………い」

「新年早々遅刻か。しかも、」


そこで南沢は急に寂しそうな顔をした。

「初詣に私服だなんて……」
「それはっ、アンタも同じでしょうがっ!」
「お前に悪態吐かれる覚えはない」

ふんっ、と少し怒ったような素振りをしてみれば、いつになく申し訳なさそうに、でも彼のプライドが許さないのか、南沢を見上げたまま何も言ってこないので改めて南沢は、倉間が遅刻をしてきたことで自分が優位に立っていると実感し、笑いを堪えることが出来なかった。

「まあいいや。早くお詣りするぞ」

人混みは歩きづらい。ましてや2人は互いに背が低い。

「ん」

よたよた自分についてきていた倉間に対して手を伸ばすと、嫌がられるだろうと思っていたが素直にその手を握ってきた。
だが、人波も少し落ち着いたあたりで急に我にかえったのか、手を離そうとしてきた。南沢は強く握っていたのでその抵抗は空しくも失敗に終わった。

「ちょ……変に思われたらどうするんですかっ」
「え? 嫌なの?」

うっ、と言葉につまる。

「……うぜぇ」


気がついたら賽銭箱の前まで来ていた。2人は財布から小銭を取りだし、怠そうにそれを放り投げると手を合わせた。

倉間が薄目をあけて隣を見ると、同じようにこっちを見ていた南沢と目が合ってしまい、悔しい気持ちでいっぱいになった。


「何お願いしました?」
「馬鹿か。人に言ったら叶わなくなるんだよ」
「えっマジっすか? 俺、毎年誰かに言ってました」

と言ってもすぐに何をお願いしたか忘れるんですけどね、と言って倉間は笑った。

「今年の願いも忘れそうなのか」
真剣な顔の南沢を見てちょっと驚きながら、
「いや、今年のはたぶん覚えています」
と言うと、南沢は俺も、と言ってふわりと微笑んだ。









……今年も一緒にいられますように。







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「空腹なんです」のるー様からいただいた相互記念小説でした!
すばらしくかわいらしい南倉小説ににやにやしながら何度も何度も読み返しています…!
本当にありがとうございました!今後ともよろしくおねがいします!
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