真逆に居座るとある住人 | ナノ


今日はイギリスにしては珍しく雲一つ無く、ぽかぽかと暖かい日だった。
スネイプは湖の前の目立たない木の根本に腰を下ろすと、読みかけの本を読みはじめた。
珍しくもスネイプがうとうととし始めた頃。

バシャーン

スネイプが驚くと、誰かが盛大に湖に落ちたようだった。
…がしかし。
スネイプは目を疑った。
湖に「落ちた」のではない、「飛び出てきた」ようだった
湖に吐き出されるようにして現れた少女はスネイプから少し離れたところに横たわっていた。
「おい、大丈夫か」
声をかけてみるが、反応がない。
この少女はマグルのような格好をしていた。
「とりあえず医務室へ行かなければ」
スネイプは少しよろけながら少女を抱き抱え、医務室へ急いだ。



「マダム、マダム・ポンフリーは、」
出てきたマダム・ポンフリーはスネイプが息を切らせながらびしょ濡れになっている少女を抱き抱えているのを見、悲鳴を上げそうになった。
「どうしたのです?!ミスタースネイプ」
「湖から、この人が…」
スネイプが答えている間もマダム・ポンフリーは少女の服を乾かしたり、処置を施していた。
「とりあえず、私の手には負えません。校長を呼びましょう」それから数分後、医務室にはダンブルドアとマクゴナガルが増えていた。
「これは…一体何があったのです?」
マクゴナガルが先程のマダム・ポンフリーと同じような反応をした。
「私もミスタースネイプに聞いたのですが、良くわからず…」
「まぁ、そう焦るでない。この子は平気なのじゃろう?それにセブルスが一番混乱しておる筈じゃ」
来なさい、ダンブルドアはスネイプに一言言うと、歩いて行ってしまったので、スネイプも後について行った。
一体どこに連れて行かれているのだろう。
校長室の存在を誰も知らなかったし、もちろんダンブルドアの自室なんて聞いた事もなかったので、スネイプは全く検討がつかなかった。
「ここじゃよ、セブルス」
ダンブルドアはガーゴイル像の前で止まった。
ガーゴイルがどうしたというのだろう。
スネイプが考えていると、雷おこし、とダンブルドアが言った。
するとガーゴイル像はぴょん、と横にどき、階段が現れた。
「こんなところに…」
「雷おこしはわしが最近お気に入りな日本のお菓子でな」
螺旋階段を昇った先の扉を開くと、机の上には煙を出すものだったりよくわからない動きを続ける小物が沢山置いてあった。
「セブルス、こっちに座りなさい。それで、あの子はどうしたのじゃ?」
さっきよりもいくらか落ち着いたスネイプは見た事を有りのままに話した。
「ほう、それではあの子は湖から飛び出てきた、とな?」
「はい。信じてもらえないかもしれないですが…」
「いやいや、わしは君の言う事を疑っているわけではないし、自分の言った事に自信を持たんといかんよ、セブルス。問題はあの子がどうやってここに来たか、そして誰なのか、という事じゃ」
そう言うとこの事がさも重要ではない、という風にダンブルドアはウインクをしたのだった。
「お戻り、セブルス。後はわし達に任せるのじゃ。せっかくの休日にすまんかったのう」
「いえ、それでは失礼します」
螺旋階段を下り、ガーゴイル像が元の位置に戻った時、ようやくスネイプはほっと息をつけたのだった。


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -