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「ミス**、」
私はスネイプ先生に名前を呼ばれてびくっ、と跳ね上がった。
それを見てスネイプ先生は気まずそうな顔をする。
「あー、そんなに我輩が怖いかね?」
ふるふる、と首を振って否定するけど、目には涙がたまってきた。
スネイプ先生は眉間の皺をさらに深くすると(まるでマリアナ海溝だ)、もう良い、と言ってパーバティをあてた。
うぅ、なんでスネイプ先生に話し掛けられると怖がっているみたいになってしまうのかしら。
…本当は嬉しいのに。
落ち込んでいたら大好きなはずの魔法薬学の授業はあっという間に終わってしまった。
「この薬品についてのレポートを羊皮紙1巻分。提出期限は三日後。それと、…**は残るように」
そう言い渡されると、ラベンダーは気の毒そうな目で私を見て、先に戻るわね、と肩に手を置いた。

「…なんでしょうか、スネイプ先生」
頑張って声を絞り出すと、先生ははぁ、とため息をついた。
やっぱり今までの態度のせいかしら、絶対そうに決まってるわ。
私が絶望の淵にいると、スネイプ先生が私の顔を覗き込んだ。
「なぜ我輩にそんなに怯える?」
私は怒られるものだとばかり思っていたから、へ?なんて間抜けな声を出してしまった。
「我輩が話し掛けるといつも怯えているように見えるのだが…?」
「そ、れは違っくて、緊張!」
で、す…。
否定するのに必死で、なんとも情けない答え方になってしまった。
「緊張?やはり我輩が怖いだけなのではないのか」
「そういう緊張ではなくて!」
まずい事になった。
これであなたが好きだから緊張してしまうんです、なんて言ったらスネイプ先生はどう思うだろうか。
「あの、私、対人恐怖症で…」
「お前が他の先生と話せるのは知っておる」
「…魔法薬学に自信がなくて」
「その割には他の生徒に教えているそうですな」
少ないネタが尽き、私は黙りこくってしまった。
というよりも、なぜこんなにスネイプ先生は私の事を知っているのだろうか。
「本当の事を言いたまえ。…我輩かて嫌われたいわけではないのだ」
「え?」
スネイプ先生の顔を見上げると、そっぽを向いてしまった。
「先生、それはどういう、」
「…我輩の事をどう思っている」
私、が、先生を、どう思っている、か
意味を理解した途端、どうしていいかわからず私は真っ赤な顔をしたまま金魚のようにぱくぱくと口を動かした。
「すまない、今のは忘れてくれ」
スネイプ先生が準備室に行ってしまう――
「すき、ですっ」
言ってしまった。
口を押さえたけど、言ってしまった言葉はもう元には戻らない。
スネイプ先生が振り向く。
今まで見た事もないような驚いた顔だった。
「今のは、本当なのか」
「はい、緊張して話せなくなるくらい」
「我輩も、だ」





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終わりが迷子になりました。
どこ行った、終わり!!
ちなみにタイトルは「楽譜。」さんからお借りしました。
タイトル借りたのにごめんなさい…!




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