series | ナノ


最近、どうもシリウスの様子がおかしかった。
いや、いつも悪戯ばかりしてて周りに女の子とジェームズ、リーマス、ピーターがいるのは変わりないんだけど。
私に対しての態度がどうもおかしかった。
「ねぇ、シリウ」
「おいジェームズ!」
こんな具合で、私が話し掛けようとすると、どこかへ行ってしまうのだ。
肩を落としてソファーに座ると、リリーが隣にやってきた。
「なぁに**、ブラックと喧嘩でもしたの?」
肩を抱きながら優しく聞いてくれるけど、私は首を横に振った。
「じゃあブラックを怒らせるような事は?」
「そんな事、何もしてないの。避けられてる理由がさっぱりなのよ」
ようやく顔を上げて言ったけど、またすぐに下を向いた。
「おかしいわね…」
意味深な言葉を残して、リリーは席を立った。
もう、どうしたらいいかわからないわ…。
シリウスの事は二年生の頃から大好きで、それなりに仲良くやってきた筈なのに。
シリウスと一緒にいて五年目だけど、こんな事は初めてだった。
はぁ、とため息をつくと、憤然とした態度でシリウスが談話室に入ってきて、少し離れたソファーに座った。
横顔が見えるけど、顔が真っ赤だ。ここからじゃ聞こえないけど、何か文句を呟いているみたいだった。
ぼーっとしばらくシリウスを見ていると、今度は笑いながらリリーが談話室に入ってきて、隣に座った。
「ふふ、ブラックの事なら大丈夫よ**。別に彼はあなたの事が嫌いになった訳じゃないわ」
どうも可笑しいようで、リリーはずっと小さく笑っていた。
「あなた、ブラックと最後に何を話したか覚えてる?」
すると、シリウスがいきなりこっちを睨んだものだから、私はびっくりして肩を竦めた。
「おいエバンズ、余計な事言うなよ!」
さっきよりも更に真っ赤になったシリウスは、ふん、とまた前を向いてしまった。
シリウスと最後に話した事?
確か一週間前のことだ。
当たり障りのないくだらない会話しかした記憶がない。
「じゃあ**、一週間前に何があったか覚えてない?」
それだけ言うと、リリーはまたどこかへ行ってしまった。
くすくす笑いはまだ続いていたけど。
一週間前にあった出来事…。
リリーはいつも通りスラグホーンに褒められていたし、シリウスやジェームズもまたいつも通り悪戯に興じていた。
私は、といえば。
確か知らないレイブンクローの男の子から手紙を貰った。
他寮生とは合同授業以外あまり関わりを持たないから、びっくりしたのを覚えてる。
まさか、それ?
「シリウス」
「何だよ」
「私、他寮生に興味無いんだけど…?」
「知ってる」
「じゃあなんで、」
言いかけた時、シリウスは急に立ち上がってこっちに来たものだから、言葉が尻切れ蜻蛉になってしまった。
「何でもないんだ、何でも」
自分に言い聞かせるようにいいながら、シリウスは私を抱きしめていた。
「嫌、か?」
「そんな訳ない」
恥ずかしかったけど、私もシリウスの背中に手を回したら、シリウスはぎゅっとしてくれた。
「誤解は解けたのね?」
突然の第三者の声に私達はびくっとし、お互いに離れた。
「そんなに急に離れる事ないのに」
「お前がいきなり来るからだ!」
そういいながらも、シリウスの声にはさっきみたいな苛立ちは欠片も無かった。
「私に感謝しなさいよ、ブラック。お互いに好き合ってるのは周りにバレバレなのに、本人達が気付かないんだから」
不器用も程々にして欲しいわ、と言って、リリーは私を抱きしめた。
「**が手紙を貰った事、ずっと気にしてたのよ、ブラック」
「気にしてなんかいない!」



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