ロンド | ナノ


授業に遅れてしまう。
女生徒に教科書を隠された私は必死にそれを見つけ出し、教室に向かって走っていた。
この原因を作った張本人は知らないのだから苛々は募る一方だわ。
憤然としながらも必死に走る、走る、走る――

ドンッ

角で誰かとぶつかったようだ。
でも私には気にしている暇は、
「すまない、よそ見をしていた。君の教科書だろう?」
そう言って彼は私の腕を引っ張って起き上がらせ、教科書を渡してくれた。
顔を見ればスリザリンのスネイプくん。
彼の細すぎる腕があまりにも易々と私を起き上がらせたものだから驚いてしまった。
「あなたって意外と力があるのね」
「僕を知っているのか」
「だって私、グリフィンドールですもの」
と言ったらスネイプくんは顔をしかめたので、リリーの友達だから、と付け足した。
「あぁ、エバンズか。それより、君の後ろの本、取ってくれないか」
言われて気が付いた。
スネイプくんの本が半開きになって私の後ろに落ちていた。
「上級魔法薬学の理論、スネイプくん、魔法薬学が好きなの」
「あぁ、興味深い」
「私も魔法薬学は好きなの。でも上級は難しくって。スネイプくん、今度本を貸してくれないかしら」
「かまわない。そういえば君、授業は、」
いけない!
話に夢中になって遅刻しそうだった事をすっかり忘れていた。
「君、名前は」
「**、**・**よ」
「**、じゃあ僕がふくろうを送るよ」
「ありがとう!じゃあ、また!」

また必死に走る。
でも今度は怒ってなんかない、すごく楽しみだった。
こんな顔で走っていたら、気持ち悪がられちゃうかしら。


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