ロンド | ナノ


マダム・パティフッドの店から出てしばらく道端で立ち尽くしていた私達だったけれど、さすがに寒いのでスネイプくんお気に入りのお店に入る事にした。
といっても古本を主に扱っているお店で、周りを見渡せば分厚くて難しそうな本ばかり。
「スネイプくんはいつもここで本を買っているの?」
私が話し掛けた時、スネイプくんは深緑色の表紙の本を見ていた。
その本も例外ではなく、とても分厚い。
「あぁ、大体はここだ。ここには手に入りにくい本もたまにあるからな」
そういうスネイプくんは僅かに嬉しそうで生き生きしていた。
そんなスネイプくんが見られて私も嬉しかった。
「**はどうしているんだ」
「私は夏休みにダイアゴン横丁で買ったりお母さんに頼んで送ってもらったりかしら」
結局スネイプくんは悩みに悩んだ末、辞書くらいの厚さがありそうな本を三冊も買い、私もそれに近いような分厚い本を一冊選んだ。
「スネイプくんといると、新しい世界が知られて楽しいわ」
そう言うとスネイプくんは微かに赤くなって、黙り込んでしまった。
なんだか今日の私達は変だ。

お店を出てしばらく歩いていると、ここに向かった時のように急にスネイプくんが止まった。
何事かと私がスネイプくんの顔を覗き込むと彼は何かマフラーの中でもごもごと言っていた。
「ごめんなさい、よく聞こえないわ」
すると何かを決心したようにこちらを見据えたものだから私は少し身構えてしまった。
「その、もし**が良ければ、だが…こう寒い事だし、手、を繋がないか」
精一杯という言葉を全身で表したようなスネイプくんの様子に、私はまたどぎまぎしてしまった。
言葉を忘れてしまったように口を開いたり閉じたりしか出来ずにいる私を見兼ねたのか、気付いた時には私の手はスネイプくんに攫われていた。
「温かいね」
「…あぁ」
お互いにこんな事しか言えず、でも私はなんだかすごく心が温かくなって、くすぐったい、なんとも不思議な気持ちだった。



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