ロンド | ナノ


今日は待ちに待ったホグズミードの日。
しかも今日はリリーじゃなくてスネイプくんを誘ってみたら、意外にもあっさりオーケーしてくれた。
私にスネイプくんを誘うように言ったのはリリーなんだけど。
最近大雪のせいで外に出る事はほとんど無かったので、トランクの底の方にしまってあるマフラーを引っ張り出していたら、リリーが部屋に入ってきたようだった。
鼻歌を歌っていて、なんだかご機嫌みたい。
「**、楽しんできてね!」
そう言いながらリリーは私の背中を思い切り叩いたものだから、私は咳込んでしまった。
「だ、大丈夫?ごめんなさい!」
「ごほっ、大丈夫よ」
涙目でそう答えると、リリーは少しほっとしたみたいだった。

コートを着込み、マフラーを顔の半分が隠れるくらいまでぐるぐるに巻いて城を出ようとすると、もう外でスネイプくんが待っていた。
「中で待っていてくれて良かったのに!」
「別に大丈夫だ」
私が駆け寄ると、スネイプくんはそう言って先に歩いていった。
マフラーを巻いているせいで彼の声は更にぼそぼそと聞こえずらかった。
「行く予定のところはあるのか?」
「うーん、特には決めてないけど、まずは三本の箒で暖まりましょう?」
「あぁ、それが一番だ」
寒いからなのか、スネイプくんはあまり顔を動かさないで話していた。
それに歩くのが速いので、隣に並ぶのが大変だった。
すると、スネイプくんは急にぴたりと止まって私を振り返った。
「すまない、もしかして歩くのが速かったか?」
マフラーをぐるぐるに巻いていても分かる程申し訳なさそうにスネイプくんが言うものだから、私は思わず笑ってしまった。
「僕は何か変な事を言ったか?」
「ううん、何でもないわ、ごめんなさい。でももう少しゆっくり歩いてくれたら嬉しいわ」
薄く目に涙を溜めて笑いを堪えた私を不思議そうに見ながらも、わかった、と言ってスネイプくんは私の歩調に合わせてくれた。
「…緊張しているんだ」
「えっ」
「そんなに驚かなくてもいいだろう?僕だって緊張くらいする」
「でも最近はよく会うじゃない」
スネイプくんがむっとした表情になったので、私は慌てて言った。
「いつもはこんな風に歩かないだろう」
フン、と鼻を鳴らしてそっぽを向くスネイプくんの顔を見れば心なしか赤く見えて、私はなんだか変な気分になった。
心臓がおかしくなったみたい。
お互いに変な空気を感じて少し経つと、ようやく三本の箒に入れた。
でもみんな考える事は同じらしく、どの席も一杯で十分に暖まる前に私達は店を出た。
「他に暖まれる場所はなかったか」
「ホッグズ・ヘッド…は嫌よね」
名前を口にした瞬間、スネイプくんが嫌な顔をしたので却下。
私だってあの店には入りたくない。
「あとは…マダム・パディフッドの店しかないわ」
「しょうがない。ホッグズ・ヘッドよりはましだろう」
そう頷くスネイプくんは知らないのだろうか、あの店がどんな所なのか。
結局私達は紅茶を一杯ずつ飲んだだけなのに、二人共真っ赤になって店をあとにした。




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