short | ナノ


「ねぇ、**」
「なぁに、フレッド」
「俺、クリスマス休暇は久しぶりに帰るんだ」
急ににこにこしながらフレッドが近付いてきたからなにかと思えば。
「…へぇ、そうなの。よかったじゃない」
本当、フレッドは毎年ホグワーツでクリスマスを過ごしてるものね。
たまには家族でクリスマスを過ごすのも…

良くない、全然良くない!
「だって今年は私とフレッドが付き合って迎える、初めてのクリスマスよ!普通、そこは恋人と一緒に過ごさない?!ねぇ、私がおかしいの、アンジー!」
そう言いながら私はアンジェリーナの肩を掴んでがくがくと前後に揺らしていた。
「ちょ、ちょっと!落ち着いてよ**!」
「これが落ち着いていられるもんですか!」
彼女の肩を離し、よよ、と泣き崩れそうな私に同情の目を向けるアンジェリーナ。
同情するならフレッドとの甘ーいクリスマスをくれ!って、古いかしら。
「きっと何か事情があるのよ。ほら、去年の夏は急にエジプト旅行が当たったりしてたじゃない?」
「そんなところなのかしら…」
あぁ、今年のクリスマスは憂鬱だわ。
私も家に帰るんだった!
「もう、いいわ、フレッドなんて知らない!思い切りクリスマスパーティーを楽しんでやるんだから!!」
ころころ変わる私に呆れたようにアンジェリーナは帰省の準備を再開させた。

「**!」
「なぁに」
私は顔を逸らしはしないものの、誰が見ても不機嫌だとわかる表情でフレッドを見た。
「そんなに冷たくしなくたっていいだろ?本当にすまなかったって!それより、プレゼントは何がいい?」
「…美味しいお菓子をたーくさん」
「了解しました、プリンセス」
そう言うとフレッドは私の手を取って、手の甲にキスをした。
「これと沢山のお菓子で許してくれるかい?」
「帰ってきてから沢山話してくれないと嫌よ!」
「あぁ、帰ったら沢山話そう」
な、とフレッドは私の頭をポンポンと叩いた。
「良いクリスマスを**」
「あなたもフレッド」

クリスマス休暇に残っている生徒はごく僅かなのに、クリスマスパーティーの食事はすごかった。
七面鳥にジャガイモ料理、ライスプディングに色んなデザート!
クラッカーを鳴らせば小さな妖精とトンガリ帽子なんかのクリスマスグッズが出てきた。
今までクリスマス休暇に残らなかったのが悔やまれる程、クリスマスイヴの夜は楽しかった。

今日は私の部屋には私しかいない。
さっきまでの騒がしさが嘘のようで、今更になって寂しさが身に染みるようだった。
「今日は談話室で寝ようかしら…」
談話室になら誰かいるかもしれないし、暖炉の前のソファーなら大きいから寝るのにぴったりだ。
談話室に下がってみると、案の定まだチェスをしている人がいた。
「おやすみなさい…」

「おい、こんなとこで寝てたら風邪引くぞ!」
「うぅん、誰よ…」
眠い目を擦ってみれば、そこにはいないはずの赤毛が。
「これは…夢、なの…?」
「夢じゃないさ、プリンセス」
「じゃあなんで…」
フレッドは私を起き上がらせると、隣に座った。
「本当は帰っちゃいなかったんだ。25日に**をびっくりさせようと思って!」
「もう!びっくりしたわよ。それに寂しかった…」
「それはごめん。でも俺だって、見つからないように一晩過ごすの、大変だったんだぜ?リーに食事を持ってきてもらったりして」
あまりに真剣な顔でフレッドが話すものだから、私はつい笑ってしまった。
「やっぱり**は笑ってた方がいいな」
「私を怒らせたのはあなたのくせに」
「本当にすまなかったって!それでプレゼントの事なんだけど」
そう言うとバツの悪そうな顔をした。
「これから用意するつもりだったから、今はまだ無いんだ」
「別にいいわよ、そんなの。だってフレッドがいてくれてるじゃない」
「じゃあ俺がプレゼント、って事かい?」
その返事の代わりに私はフレッドにキスをした。

サンタさん、今年のプレゼントはもう貰いました!




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