short | ナノ


外を見るまでもなく今日は大雨。
普段から暗いスリザリンの談話室は昼間にも関わらず、更にじめじめと暗かった。
「ドラコ、この髪どうにかならないかしら…」
そう、私の髪の毛は湿気によってかなーり膨張してしまう。
今日もグリフィンドールのグレンジャーみたいに髪が広がっていた。
ううん、今日はそれ以上かも。
「ちょっと、ゴイル笑わないでよ」
そう言って私がゴイルをキッと睨むと、ドラコがゴイルの頭をゴツッと殴った。
「この前僕が父上に頼んだヘアケア剤でもおさまらなかったんだろう?もう、帽子を被るしか…」
「それはダメ!」
私が叫ぶとドラコはびっくりして目を真ん丸く見開いた。
「な、なんでだよ…」
「ドラコは知らないでしょうけどね、私本っ当に帽子が似合わないのよ!!本当に、本当よ!」
「そんな事はないだろう。組分け帽子の時は変に思わなかった」
「逆に聞きますけど。組分け帽子なんてマクゴナガル以外に本当に似合う人なんているの?」
私がこう言うのを聞いて、グラップとゴイルが必死に笑いを堪えた。
「確かに…。でも被ってみたら案外似合うのがあるかもしれないぞ?」
そういうと、ドラコはお父様に手紙を書き始めた。

その日の夜、スリザリンの談話室には様々な種類の帽子が送られてきていた。
「**!父上が送ってきてくださったぞ!」
そう言うや否や、ドラコはどれが一番私に似合うか考え始めた。
「一番おさえられそうなニット帽はどうだ…?」
「ダメ、なんかコレ顔が大きく見えるわ」
「じゃあキャップは、」
「ドラコは私にどんな格好をしていろっていうの?!」
「じゃあ…」
と、ドラコが訳のわからないような帽子を取り出したもんだから、私は呆れて談話室を出てしまった。

「ハァイ、パンジー」
「あら、**。ドラコは?」
誰に当たる訳にもいかなかったので、私はパンジーに今日あった事を全て話した。
「それは難しいわね…。でもちょっと待って、それって髪をこうすればいいんじゃない?」
そう言いながらパンジーは私の髪をいじり始めた。
「はい、これでどう?髪も広がらないし、帽子も被らなくていいわよ」
鏡を覗いてみれば、緩くオシャレに三つ編みがしてある私。
「これ、とってもいいわ!なんで髪を結ぶ事を思い付かなかったのかしら!」
ありがとう、とパンジーにお礼を言うと、ドラコに見せなきゃ!と談話室までの道を急いだ。

談話室に着くと、まだドラコは帽子を見比べながら悩んでいた。
「ドーラーコ!」
どう?と言う私をじーっと見つめると、安心した、とでもいうように肩の力を抜いた。
「いいんじゃないか?」
「でしょう?パンジーがやってくれたのよ!」
ドラコが喜ぶ私に近付いてきて、よかったな、って頭をポンポンとしてくれた。
ドラコも気に入ってくれたみたいだし、雨の日もこれで憂鬱じゃないわ!

(全く、**の考えている事はわからない…)
((僕たちはドラコのセンスもわからないぜ))
(うるさいっ)
ゴツッ




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