short | ナノ


「ねぇ、」
俺が顔を上げても彼女の視線は本に向いたままだった。
「今の私の気持ち、わかる?」
は、と俺は固まった。
急に何言ってるんだ、コイツ。
「何なんだよ、いきなり」
「だから、言ったまんま、よ。秀才のシリウスくんでもさすがに人の気持ちはわからいかしら」
そう言うと、ようやく**は俺の方に顔を向けた。
口元がにやりと歪んでいる。
一応言っておくが、**は俺のガールフレンドだ。
プレイボーイと言われる俺が不安になるほど掴みどころのない。
「わかる、わかるさ。俺を誰だと思ってる?」
本当はわかる筈ないさ。
いつも以上に彼女は意地悪だ。
「グリフィンドール一、の人ですものね。じゃあお答えを」
**は俺がわかっていないのを知っていてこんな事を言う。
だから俺も本当に答えない訳にはいかないんだ。
もうヤケクソだ。
「お前、本当は俺に甘えたいんだろう?だから俺にそんな事を言う」
彼女は目を見開いて呆れ顔になっている。
あぁ、もう少しマシな事が言えないのか、俺。
「そんな訳、ないでしょ」
ん、何かがおかしい。
**の顔がわずかに赤い気もする。
普段の彼女はこんな反応をしない。
イコール。
俺の解答は間違っていなかった事に。

「顔が赤いぞ、素直になれ」
「うるさいシリウス」
普段の**の扱いは俺には全く無理だが、こうなってしまえば俺のものだ。
俺は本を取り上げた。
「あぁもう、返して」
「俺がいるだろう?」
そして俺はこう囁くんだ。

(お前の気持ちがわからないなんて思うなよ)


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