short | ナノ


「よう、スネイプ。こんな雨の中、人待ち?」
城の入口で立ちながら本を読んでいるスネイプに声を掛けた。
「**、お前はもう少し女らしい話し方が出来ないのか」
ちらりと私に視線をよこし、スネイプが言った。
その目には呆れと面倒臭さが混じっていた。
「たまにはいいでしょ」
そう言いながら私はスネイプの隣の壁に寄り掛かった。
「お前も人待ちか?」
スネイプが聞いたけど、私はふふんと笑って返さなかった。
「ブラック達を待っているなら僕は移動する」
スネイプはそう言ってぱたんと本を閉じ、この場を離れようとしたから、私は慌てて違う、と言った。
「シリウス達じゃないわ」
「じゃあ誰だ」
「別に誰だっていいでしょ」
私はフン、とそっぽを向いた。
すると、スネイプもフンと言ってさっきの場所に戻り、また本を開いた。
「何の本読んでるの?」
する事もなく、暇になったからスネイプに聞いてみた。
「別に、なんだっていいだろ」
さっき私が言った事とあまりに似ていたので、私は思わず笑いそうになった。
そんな私をスネイプは睨んだ。
「さっき私があんな事言ったから拗ねてるの?」
「そんな訳ないだろう。くだらない」
そう言いながらもスネイプはやっぱり少し怒っていた。
だから私は観念したように言った。
「別に私は誰も待ってないわよ」
するとスネイプは目を真ん丸と見開いて普段みないような表情になった。
途端、スネイプはまた本を閉じ、下を向いた。
「何よ」
「いいや…奇遇だな。僕も同じだ」
いや、違うな。
そう言ってスネイプは私の方を向く。
なんなのよ、スネイプのくせに。
「僕は**が来るのを待っていたのかもしれない」
「かもしれないって何よ」
そう言いながらも蜜かに私は嬉しかったし、事実口角が僅かに上がっていた。
「あ、雨止んだみたい。見て、虹が出てる」
私がそう言うとスネイプは優しく笑ってくれた。
「もしよかったら湖の辺まで行きませんか?」
「…それは僕の台詞じゃないのか」
一瞬むっとしたスネイプだったけど、すぐに呆れたような笑いを浮かべた。
「どうした、行くんじゃないのか。置いていくぞ」
「待って」
そう言って私は笑いながらスネイプの隣を歩いた。



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