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「好きなの」
**が言った。
その透き通るような声が耳に入った途端、僕の心臓がとくん、と大きく鳴った。
「僕、も」
そう返事をする声は僕のものじゃない。
そう、君が見つめる先も僕じゃ、ないんだ。
「本当に?嬉しい」
あいつはそう言う**の手を取って、二人で微笑みあった。
僕の中では黒くてどろどろした物が渦巻く。
何故その瞳に僕は映らない。
何故君の心に僕は入れない。
何故君は、僕を。
何故―――
壁を背中に立っていた筈の僕の足からは段々と力が抜けていき、情けなくもずるずるとしゃがみ込んでいた。
君とあいつの楽しそうな笑い声が聞こえないように僕は耳を塞いだ。
ついでに君に対して心も塞いだ。
こんな僕を君が見たら一体何と言う?
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title:確かに恋だった



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