short | ナノ


魔法界は少しずつおかしくなり始めていた。
その証拠に前年度ダンブルドアが学校にいない事が多くなったし、不死鳥の騎士団というらしい団体も行動を活発化させるようになった。
目の前が段々と見えなくなっていくのは怖かったけど、みんな―シリウスと夏休みにブラック家のお屋敷にいられるのは幸せ。
でもブラック家は広い、広すぎる。
それに、一人暗い部屋でベッドに入っているのは、結構怖い。
そういう訳で私は全く寝付けなかった。

コンコン
廊下も怖かったけど、自然と私の足はシリウスの部屋に向かっていて、ドアをノックした。
けど、返事がない。
大人はもっと遅くに寝るものだと思っていたけど…シリウスは違うみたい。
「入っても平気、だよね…」
カチャリ、とドアノブを捻った音にちょっとびくっとしながらもドアを開けて部屋に入ると、シリウスはぐっすり寝ているようだった。
「ね、シリウス……きゃっ」
軽く彼の肩を揺らす。
と、彼はその手をベッドの中に引っ張り込み、私はシリウスのベッドで寝ている形になった。
「え、ちょっと、シリウス…!」
「ん…誰だ…って**?!」
私を引っ張り込んだのは無意識だったらしく、目を覚ましたシリウスは一回私から離れ、思い直したようにまたくっついた。
「なんだ、夜這いか?」
「ち、違う!起こそうとしたらシリウスが急に私の手を引っ張って…」
尻窄まりする私の言葉を聞きながら、シリウスはにやにやと笑っていた。
「それで、何でわたしを起こそうとしたんだ?」
「べ、別にっ。他の大人を呼べばよかった!」
そんな事言うなよ、といいながら、シリウスはそっぽを向いた私の顔を正面に向け、軽く口付けた。
「っ、何するの!最低!」
「なんだ、これくらいでガキだな」
「シリウスがおじさんなのよ!」
そう言ってシリウスから離れようとするけど、なかなか離してもらえない。
キッと睨むと、頭を手で固定され、さっきよりも深く口付けられた。
「嫌だったんじゃないのか?」
にやにやと笑いながらシリウスが聞く。
「だっ、て…離してくれないから」
「わたしがこんなチャンスを逃すと思うか?」
「それってどういう、」
意味、という言葉は声になる前にシリウスに吸い取られてしまった。
脳が考えるのを止めてしまいそうになる寸前で私はシリウスを押した。
「もう!からかうのはやめてよ!」
「からかう?いくらわたしでも本当にただの子供だと思ってたらこんな事、しない」
真剣な眼差しで見つめられる。
こんな時絶対同年代の男の子なら顔を逸らして言うと思う。
だから私はシリウスの代わりに顔を逸らした。
「そんな言い方したら、私勘違いしちゃうよ、シリウス」
すると、はぁ、とシリウスの口からため息が漏れた。
私、怒らせちゃったのかな。
「**は私の必死の思いでした告白を勘違いで終わらせるつもりか?」
さっきのって…シリウス、本当は必死だったんだ。
シリウスの顔をよく見てみれば、確かに少し赤いかもしれない。
思わず、ふふっと私が笑いを漏らすと、シリウスは強引に向き合わせた。
さっきと同じ、シリウスの真剣な表情にどきりとする。
「それで、**はわたしの事をどう思っているんだい?」
「わ、私は…シリウスが、すき」
「ハリーやロン、ハーマイオニーと同じ様にかい?」
そう言いながらシリウスが悪戯っぽく笑うものだから、私はシリウスに抱き着いた!
「ううん、シリウスは特別好き!」
「わたしは幸せ者だな」
そう言って、シリウスはゆっくりと優しく私の頭を撫でてくれた。
今晩はぐっすり幸せな気持ちで眠れそう!



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