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部屋で読書をしていると、急にふくろうがやってきた。
こんな真夜中だというのに…
ちなみに現在25時。
だけどふくろうはとても急いでいる様で、早く手紙を取れ、とでもいうように私につついてきた。
「イタッ、待って、待ってよ!」
羊皮紙を開くと、そこにはリーマスの字が。
『こんな時間にすまないね。でも急に体調が悪くなったんだ。よかったら来てくれないかな?』
手紙を読んだ瞬間、私は飛び上がるようにして立ち上がった。
学生時代から普段何も言わないリーマスの事だから、体調が悪くなったなんていったら相当酷いのだろう。
病人でも食べられそうな物と風邪薬―この前自分で調合したものだけどこの際しょうがない―をかごに入れ、忘れずに杖をローブの内ポケットにしまって暖炉に飛び込んだ。

「リーマス!」
暖炉からリーマスの部屋が見えたと共に彼の名前を叫んだ私をベッドの上から見つけると、リーマスはにっこりと笑った。
「来てくれたんだ、早かったね」
「だって、リーマスがあんな風にふくろうを飛ばすなんて相当酷いんだと」
そう思ってきたのに、肝心の本人は辛そうでもなく、普通にベッドで寝転がっていた。
その姿をじろ、と見回すとリーマスは少し困ったように私を見た。
「悪かったよ。でも体調が悪いのは本当だから」
ほら、とリーマスは私の手を彼の額の上へと導いた。
「…言う程熱くないじゃない」
もう、と言いながらも私は家から持ってきた物をかごから出した。
さすがに体調が悪いと言っている友人を放って置くわけにはいかない。
「リーマス、キッチン借りるけどいい?」
「あぁ、もちろん。悪いね**」
悪いね、なんて言うけど、リーマスはちっともそんな顔はしていなかった。

「卵粥でよかったかしら」
「うん、ありがとう」
リーマスは一口食べると、にっこりと笑顔になった。
「学生の頃より料理が上手くなったんだね」
「それ、褒めてるのか馬鹿にしてるのかわかんない」
「褒めてるに決まってるじゃないか。よくシリウスにあげるお菓子の毒味をさせられたよね」
「それは昔の話で…」
リーマスの調子に乗せられて、彼の体調が悪いから、という理由でここにいる事も忘れて談笑しているうちに、私は寝ていたみたいだった。

目を覚ますと目の前には目玉が二つあった。
私が目をしばたいてみれば、睫毛同士がぶつかる程の距離にリーマスの顔がある事がわかり、私は驚いて椅子から落ちた。
心臓が爆発するんじゃないか、って程動いてる。
「驚かせて悪かったよ。あまりにも**がよく寝ていたもんだから」
くく、と笑いながらリーマスが言う。
むっとした顔をしてリーマスを睨みながら私は椅子に座りなおした。
けど心臓の動きはなかなか元の速さに戻ってくれなかったから、私は帰る事にした。
「もう体調は大丈夫でしょう?私、帰るわ」
椅子から立ち上がろうとした時。
足に力が入らない。
「大丈夫かい?**にうつっちゃったかな」
確かに少し頭が重い。でもそれはさっきの衝撃だと思わなくもないのだけど。
意識を周りに移してみると、私はまるでリーマスにお姫様だっこをされているみたいな格好だった。
「だ、大丈夫、だから降ろして…」
どんどん声が小さくなる私に、またくく、とリーマスが笑った。
「**、顔が真っ赤だ。まるで林檎みたい」
そう言うと、ゆっくりとベッドの上に座らせてくれた。
「今度は僕が**を看病する番かな」
悪戯っぽいウィンクを残して、リーマスはキッチンに消えた。
動きの悪くなった頭で今リーマスが言った事を理解する。
途端、焦って今度はベッドから落ちそうになった。
「待ってリーマス、ここリーマスの家!」
リーマスはキッチンひょっこりと顔を出すと、不思議そうな表情だった。
「なんでだい?一人で帰すのは心配じゃないか」
それにまだ**の側に居たいから。
そんな事を言われたら本当に帰れなくなっちゃうじゃない。




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