short | ナノ


急にふくろうがやってきたと思ったら、**からの手紙のようだった。
『セブセブお誕生日おめでとう!お祝いをしたいから三階の空き教室に来てね。絶対よ!』
また誕生日か。
はぁ、とため息をついて、端によくわからない動物の絵が書かれた羊皮紙をベッドの上に残し、さっき帰ってきたばかりの部屋を出た。
どうせ**の事だ、僕が行かなければいつまでも待っているつもりなのだろう。
僕の事はセブセブ呼ばわりだし、変な奴だが根はいい奴だ。
もしかしたらエバンズもいるかもしれない。
そんな事を考えながら、はぁ、ともう一度ため息をついた。
自分の誕生日だというのに、何故こんなにもため息をつかなければいけないんだ、僕は。

**に指定された教室の前まで来たはいいが、妙に静かだった。
教室を間違えただろうか、いや、三階の空き教室といえばここしか無いはずだ。
では僕を驚かせようとしていると考えるのが妥当か。
そう納得したところでドアを開けると。
パーン
クラッカーの音が響き渡ると共に色々な、本当に色々な物が舞っていた。
そして目に飛び込んできたのは**―とブラックにポッター、ルーピンにペティグリューまでいた。
「お誕生日おめでとう、セブセブ!」
**が満面の笑みで僕に近付いて来た。
僕はその両肩に手を置いた。
「**、悪いが僕は帰る。恨むならブラックやポッターを恨め」
そのままくるっと回れ右をすると、目の前には普段は見せない黒い笑みを浮かべたルーピンが。
さっきまで僕の前、しかも**より後ろにいたというのに。
超人か、こいつは。
「せっかく僕達が用意したんだから楽しんでいってよ、ね?」
その言葉には普通の人間ならば絶対に断れないであろう威圧感がたっぷり含まれていたが、生憎僕はそれを跳ね返す事が出来る精神力が鍛えられていたので、あっさりとルーピンを押しやり、ドアまで辿り着いた。
しかし、ドアを開けるどころかドアノブを捻る事さえ出来なかった。
「あぁ、言い忘れたけど、鍵には魔法をかけておいたよ」
なぜこう無駄に魔法を使うのだろうか、あぁ馬鹿だからか、馬鹿。
「アロホモラ」
「リーマスが魔法で開くような魔法をかける訳ないだろ!」
ブラックが笑いながらそう言うと、ペティグリューは下品にひひひ、と笑った。
苛々は頂点近くまで来、僕がここに来る原因を作った張本人を見た時。
「ぐー、すかぴー」
単純な彼女は眠らされていた。
「さぁどうする、スニベリー?**は寝ている、ドアは開かない」
今日は厄日だったろうか。

ポッターに促されるまま近くの椅子に座った。
もうこうなったらしょうがない、と諦めていると、何故かどこからともなく屋敷しもべ妖精が数人出て来て目の前の机にどっさりとケーキやお菓子、パンプキンジュースを載せ始めた。
「…は」
全く状況が飲み込めず固まっていると、上から声が降ってきた。
「だから大人しく来ていれば良かったんだ!」
「シリウスとジェームズの普段の行いからしたら、疑われるのは当然な事だけどね」
「それは言わない約束だぞ、リーマス」
きっと僕は阿呆みたいな顔になっていたに違いない。
上を見上げ、ブラック、ルーピン、ジェームズ、またブラック、と三人の顔を交互に見ていた。
「阿呆みたいな顔してないでさっさと食えよスニベルス!」
ブラックにそう言われたので、クリームたっぷりのケーキよりは甘くなさそうなパンプキンケーキを手に取った。
まだこの四人を疑わずにはいられなかったが、きっと食べないと帰してもらえないのだろう。
そう思ってパンプキンケーキをひと口―――
で目が覚めた。
全身にはびっしょり汗をかいていた。
きっと僕は相当うなされていたに違いない。
周りを見てみれば、誰も起きていない様だった。
「…夢だったのか」
水差しから水を飲み、ようやく落ち着いてきたので、もう一度寝ようと思った時。
「イタッ」
頭に何か固い物がコツンと当たった。
手に取ってよく見てみれば、それは箱の様で、綺麗にラッピングがしてあった。
そういえば今日は本当に僕の誕生日なのだ。
ラッピングを丁寧に解き、箱を開けてみるとメッセージカードには『お誕生日おめでと!とっておきのプレゼントをセブセブにあげます』と書いてあった。
贈り人は**か。
中身はというと。
**がいつも首から下げていた大きな赤株だった。
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title:HENCE




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