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「おいスネイプ」
ちら、と振り返ってみれば、忌まわしきブラックだったので、僕は気付かなかった事にした。
一歩踏み出すと、がしっと肩を捕まれたらしく、それ以上は前に進めなかった。
「おい!今振り返っただろ!無視するなよ」
「普段の行いを振り返ってはどうだ、ブラック」
睨みながら唸るように言ってやるが、ブラックは少しも気にしないようだった。
それどころか、僕を見てニヤリと口を歪ませた。
全く、つくづくはなにつく奴だ。
「今日は何の日か知ってるか、スネイプ」
「知るか、僕は暇じゃないんだ。お前なんかに付き合っていられない」
ブラックの手を振り払おうとするが、離す気は無いようだった。
僕ははぁ、とため息をつくと、もう一度振り返った。
「…何なんだ」
その一言を待っていたかの様ににぃっと笑い、信じられない事を言い出した。
「今日はお前の誕生日なんだろう?」
「何を企んでいるんだお前は」
「そう即答しなくたっていいじゃないか。誕生日くらい俺達にも祝わせろ」
「俺達、か。ポッター達もいるのか。よし、断ろう」
奴らがまともな事を考えているとは思いがたい。
ブラックの手が一瞬緩んだ隙をつき、僕はその場を後にしようとした。
「来ないと吠えメール送るからな!!」
奴らが何を企んでいるかは知らないが、その企みに引っ掛かって情けない姿を晒すより、吠えメールが来る方がずっとましというものだ。
背中にブラックの視線を感じながら談話室へ戻った。

その時。
スネイプが俺の言う事に素直に従うとは全く思っていなかった。
正直そんなスネイプは気持ち悪いし見たくもない。
だから、俺達はスネイプが確実に“パーティー”に来る方法を思いついたんだ。
楽しみにしてろ、スネイプ!
ニヤリと笑ってスネイプを見送った後、俺も自分の談話室に戻った。

「どうだった、スネイプの奴のったのか?」
「予想通りの反応だったぜ、ジェームズ。おい、**は!」
なぁに、と**は顔を出した。
「今日もそのネックレス素敵だぜ」
ジェームズが悪戯っぽく言うと、**は素直にありがと、と返した。
**が大きな赤株を撫でた。
「今日は**に折り入って頼みたい事があるんだ」
**は元から真ん丸い目を更に真ん丸くして俺を見た。
「スニベリーの事なんだが、」
「嫌よ、セブセブは友達だもん」
「何もまだ言ってないだろ?」
**にしては機転がきいたらしく、胡散臭そうに俺とジェームズを交互に見た。
「今日はスニベリーの誕生日なんだよ。俺達も日頃の行いを反省して誕生日くらい祝ってやろうかと思ってな」
ニヤっと笑ってジェームズが言った。
それを聞いた瞬間、**は効果音が聞こえてきそうな程の笑顔を浮かべた。
「それ、素敵ね!私がセブセブを誘ったげる!」
そう言うと**は手紙を書くために寮へ駆け上がっていった。
それを見送った俺達はニヤリと顔を見合わせた。
「「作成成功だ!」」
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後編へ続く
title:HENCE




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