gift | ナノ


「サンジィ、なんだコレ、めちゃくちゃウメーぞ!」
「ったりめーだ!おれを誰だと思ってやがる!」
いつものように賑やかで楽しい夕食の時間。
今日は珍しいお魚をサンジくんが色んな料理にしてくれて、みんな大満足!
ルフィは頬をハムスターみたいにぱんぱんにしながら食べてたし、チョッパーなんて人獣型で元から丸っこい体がもっと丸に近付いていた。
「本当にウマかったぞサンジ!ん?ウソップなんか変じゃないか?」
チョッパーの発言でみんながウソップを見ると確かにいつもの陽気なウソップはどこへやら。
目を白黒させて若干俯きぎみな彼がいた。
「な、ななな、何言ってんだぁチョッパー!お、おれは何も変じゃ…!」
急に焦り始めたウソップはみんなが訳もわからず自分の事を見ているとわかるなり、ダイニングから走って出て行ってしまった。
「なんだぁ?ウソップ、変なやつだな!」
「私、ちょっと様子見てくるね」
そう言って立ち上がりダイニングの扉まで行くと、もうみんなはさっきのウソップの様子を忘れたかのような賑やかさに戻っていた。

ウソップはアクアリウムで入口に背を向けて座っていた。
「ウソップ」
私が声を掛けるとウソップの背中がギクリと揺れる。
「どうしちゃったの?みんなは気にしてないみたいだけど」
私は一応、その、ウソップのカノジョ、なんだし。
「べ、別に本当に何でもねェよ!」
「…嘘つき」
ウソップの隣にしゃがみ込むと、彼は背中を向けて体育座りをしながら顔を埋めてしまった。
「何?私に言えない事でもあるの?」
「ち、違っ…!」
そんな事出来ないのはウソップの性格から百も承知だけど。
「じゃあどうしたのよ。あ、もうごまかさないでよ」
恨めしそうにウソップを見れば、彼はとうとう観念したようだった。
「今日は何の日だ?」
「え、今日?」
うーん、と考えるけど、何も思い当たらない。
誰かの誕生日じゃないし、記念日とか無いし…。
「何も無い、普通の日じゃない?」
「ちっがーーう!!」
あまりにウソップが大きい声で否定したものだから、上からナミのどうしたのー?という声が聞こえた。
ウソップは顔を真っ赤にしながら息を切らしていた。
「き、今日は**が…!コホン、**が見張り番の日だろ」
今更落ち着いて余裕ぶっても無駄だと思うんだけど。
「前におれが言った事、覚えてないなんて言わせねェ…!」

『続きは次の見張り番の夜に』

どきん。
忘れられるわけがない、っていうのは嘘で、実は忘れてた。
今目の前にいるウソップはあの時と同じ目をしている訳で。
「いや、ウソップまだみんな上にいるし…」
「**が声出さなきゃいい」
そう言うとウソップはちゅ、とリップ音を立てて口づけた。
「でも、」
「うるせッ」
今度は強引に私の頭を抱いて、深くキスした。
あの時みたいに、いつものウソップじゃないみたい。
「気付いたらルフィは**と肩組んでやがるし、サンジは**にメロメロだし、ゾロは何考えてやがるかわかんねェし」
「…フランキーとブルックは?」
「言うまでもねェだろ」
すると、私に抱き着いて顔を埋めたと思ったら鎖骨の辺りがちくりと痛んだ。
「え、ウソップ何したの」
「**がおれのだって印」
「ばっか…!見られたらどうす、」
「おれだけ、見てろ」
小さいけど、しっかりした意志のある声。
逆らえない、というか、私がウソップ以外の人を見るなんて無いのに。
「ウソップも、私以外見ないでね」
そう言って頭を撫でてあげると、恥ずかしそうにはにかみながらウソップが顔を上げた。
「当たり前ェだ」
そして私達はまた深くキスをした。



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