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O.W.L.(ふくろう)テストも終わりみんなが落ち着いた頃。
私は湖の辺で大イカが足を出したり優雅に泳いでいるのを見ていた。
初夏の陽射しに湖畔が煌めいてとても綺麗。
「私、これからどうなるんだろう」
ふぅ、と一つため息をつくと、後ろから背中を軽く叩かれた。
「辛気臭いな、**らしくない」
「シリウス」
振り返ってにっこり笑ってみせると、シリウスも悪戯っぽく笑い返してくれる。
「何考えてたんだ?」
「ほら、ふくろうも終わったし、来年からは進路に向けて教科を選択しなきゃいけないでしょう?」
「そんなの俺何にも考えてないぜ!」
シリウスったら、と私が口を尖らせると、シリウスは笑いながら私の肩を抱いた。
「**は何になりたい、とか決まってるのか?」
「ウーン、それが難しいところなのよね。…少し癒者になりたいな、とは思ってるんだけど」
私がそう言うと、シリウスは目を真ん丸に見開いた。
「すっげー…。**なら絶対なれるぜ、癒者!」
ありがと、と一言返すと私はまた湖を眺めた。
「私達って今がすごく幸せなんだよね」
私がぽつりと漏らした言葉にシリウスは首を傾げた。
「だってほら、ホグワーツを卒業したらこんな風にのんびりしたり、みんなで馬鹿みたいな事ばっかりしてもいられないでしょう?だから、今が幸せなんだなって」
「卒業なんてまだ二年も先の話だぜ。そんな事考えるよりは新しい悪戯を考えてた方が楽しいと思うけどな、俺は」
いつもならにかっと太陽の様に笑うシリウスが大人っぽく微笑んでいたので私は面食らってしまった。
「なんだよ**、俺なんか変な事言ったか?」
「べっつにー」
立ち上がって思い切り伸びをすると、隣でシリウスも立ち上がった。
「じゃあ城の入口まで全速力な!」
「えっ、待ってよ!」
結局二人で馬鹿みたいに笑いながら城まで全力疾走。
着いた時には全力疾走と笑いすぎが祟って息も切れ切れだったけど、私達はそれでもまだ笑いが止まらなかった。

(私達が人生であの湖みたいに輝ける時間)

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風子さん
2000hitのキリリクありがとうございました!
あまり甘くはないですが、ほのぼのになってますでしょうか…!
これからもよろしくお願いします!
風子さんのみお持ち帰りOKです。



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