gift | ナノ


今日も航海日和。
ぽかぽか暖かくて、私は甲板で本を読んでいた。
ウソップは隣で何かいじってるし、チョッパーはそのまた隣でうとうとしながらそれを見ていた。
「しーまーだァーー!!」
突然のルフィの大声にチョッパーもびくんと目を覚ました。
「おぉ、もう島が見えたのか!」
「そうみたい。船番、どうしよう」
「おれは薬がきれそうだから買いに行かなきゃなんねーんだ!」
チョッパーはにこっと笑ってナミのところに行った。
「ウソップはどうする?」
「おれかぁ?これがもうちょっとで出来そうなんだよなぁ…。**はどうする?」
「ウソップが残るなら、私も残るよ」
そう言うと、ウソップはそうか、と笑顔になって、また作業に没頭し始めた。

「じゃあ**、ウソップ、船番頼んだわよ!」
「**ちゅわーん、美味しい物買ってくるからねー!」
「行ってらっしゃい、楽しんできてね!」
みんなを見送ると私もウソップの隣でまた本を読み始めた。
程よく雲も出ていて、春島の春だけあってとてもちょうどいい天気だ。
たまに吹く風が気持ちいい。
「これでいいだろ!」
さっきのチョッパーみたいにうとうとし始めた頃、ウソップの作業が終わったみたいだった。
「何作ってたの?」
そう聞くと、ウソップはにししっと笑って、それを私に見せてくれた。
「じゃーん、どうだ!船内どこにいても**と話せるようにトランシーバー作ったんだ!島に上陸しても迷子にならないスグレモノ」
「わぁ、すごい!形もダイヤルみたいで可愛いね」
「だろ?本当はトーンダイヤルに似たのが安く手に入ったんだ。ナミには言うなよ?」
「うん、ありがとウソップ!」
片方を受け取ってよく眺めていると、二人のイニシャルが入っていた。
私のはピンクでウソップは緑。
しばらく隣同士で試しに使ってみたけど、やっぱり離れて使いたくなったので、お互いに船内で別れた。
「わ、本当に離れてても聞こえる!」
『すごいだろ、**のために頑張ったんだからな!』
「ねぇ、今どこにいる?私はアクアリウムなんだけど」
『さて、どこだ?』
どうしてもウソップが教えてくれないから、私は船内を散策した。
「今探してるから、絶対動かないでよ!」
『動いてねぇよ、心臓も止めてる』
「ふふ、子供じゃないんだから」
でも、どれだけ探してもウソップは見付からない。女部屋にはウソップが入れないし、男部屋には私は入らないから、それ以外だと思うんだけど、それ以外の部屋は全部見たはず。
『**ー、まだかァ?』
「だって全部の部屋見てもいないんだもん!」
『全部の部屋見たのになんでおれが見付かってないんだよ』
呆れ混じりでウソップに言われるけど、本当にわからない。
でもよくよく考えてみたら、甲板には戻ってなかったかも。
「ウソップ…?」
甲板にあがって周りを見渡したけど、人影はない。
「ここにもいないの?…うわっ」
急に後ろから抱きしめられて、変な声が出てしまった。
「遅ェ、待ちくたびれた」
「ご、ごめんウソップ」
ウソップの方を向きたいけど、背中の方から腕を肩にかけられているから首が回らない。
「時間がかかった罰ゲーム、どう?」
「え?」
すると、くるりと反転されてやっとウソップの顔が見えた。
…口の端だけが僅かに吊り上がって見えるのは気のせい、ではないはず。
「丁度おれ達しかいないし?たまには、な」
顔が真っ赤だぞ、とウソップは更にニヤリと笑うと、私を担いだ。
「待って、意味わかんない、意味わかんない!」
いくらジタバタしても、ウソップには全く効いてないみたいで。
普段は見せない力に内心すごく驚いた。
「ん、あれ、扉が開かねぇ…」
片手しか空いていないからか、ウソップは扉を空けるのに悪戦苦闘しているようだった。
私はというと、抵抗し疲れて廊下の壁を見ていた。
カチャリ
「やっと開いた…」
その時。
「**ー?チョッパーを手伝ってあげてー!」
甲板の方からナミの声が。
それに驚いたウソップの隙をみて、私はナミのところまで走っていった。

「悪いな、珍しい医学の本も買っちまったんだ。**、何か鳴ってるぞ?」
音の発信源はトランシーバー。
『続きは次の見張り番の晩に』
「なんだ、ウソップの声か?ん?**、真っ赤だぞ!熱あるのか?!」
「ない、全然ない!先に置いてくるね、チョッパー!」
「ん?待ってくれよ、**ー!」
今日みたいなウソップもたまにはいいけど、私の心臓がきっともちません。
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ビーさん、いかがでしょうか、ギャップモエウソップになりましたでしょうか…
Sウソップで書いていた筈が、自分で読んでいて、彼は自分で言っておいて動揺しすぎじゃないか?と…笑
返品OKで、もうあとは煮るなり焼くなりしてあげてください 笑


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