猫、どこかにかえる


命の恩人はこんどう≠ウんで、新選組の局長という偉い人らしい。

こんどうさんが某について広間の連中に説明してくれた。
某の話を聞いていた連中は予想以上に反応を返していて、噂通りの恐い人斬り集団ではなく、実は優しい人達なのだろうかと思えた。
散々唸ったり睨んだりしていたし、しんぱちとやらには思い切り引っ掻いたりした某は少しばかり罪悪感が残る。

「…辛かっただろうな。」

あんなに怖かった般若ことひじかたが某に手を伸ばしたが、怖くはなかった。
少しだけ触れた指は優しく感じた。

そして某は、廊下を走っている。
しばらくこんどうさんの膝の上にいた某は大事な事を思い出したのだ。
千鶴である。
廊下を全速力で進む。
落ち着いて考えてみたらそれほど迷う道でもなかった。
千鶴のいる部屋に近づいたその時、その部屋から千鶴の頭がひょっこり出てきた。
…これは脱走を試みたと見える。
とっても優しいこんどうさんや優しい人達…かもしれない連中相手でも脱走なんてしたら見逃してくれないだろうなぁ。
千鶴を止めなくては。
やめろやめろと騒いで彼女に近づいてみれば、

「猫さんも一緒に逃げよう!」

あっという間に千鶴の腕の中。
部屋から飛び出た千鶴の背後には紫色の般若。
これはまずい。

「逃げられるとでも思ってたのか!」

その千鶴を首根っこを掴む様にして捕まえるひじかた。
他にもさんなんやら数名いるらしい。
もがく千鶴のおかげで某の体もぐわんぐわん揺れて苦しい。
話はよく聞き取れなかったが。
千鶴の男装はバレていたらしい事はわかった。


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