「女子会しましょう!」


それは、午後三時のティータイム。
ソファーから立ち上がったモモは、何故か突然そう言いだした。

それに目をキラキラ輝かせるマリー。対して、眉間に皺を寄せるキド。 

そして、


「女子会…?」


お茶を用意しながら、不思議そうにセーナは、首を横に傾けた。




「只今より、『第一回メカクシ団女子の会!』を始めたいと思いまーすっ!」

「わーっ!(パチパチパチ)」

「いえーい!!」


「「………。」」


シンタローからエネまで借りて、本当に女子会を始めるモモ達。そのテンションは、いつもより高い。
それをセーナとキドは、困った顔で見つめていた。…何故だろう。嫌な予感しかしないのだ。


女子会の会場は、キドの部屋になった。
彼女達は、ドアの鍵はしっかりかけ、テーブルにお菓子を沢山用意すると、その周りを囲むように座った。

そして、司会のモモが目をキラリと光らせながら一番始めに口を開いた。


「はい!じゃあ、今日の議題はコレです。
ずばり!皆さんに好きな人とかいますか??!」

「それ、議題じゃないだろ。只の質問だろ。」

「モモは、数字が苦手とか言ってたけどさ。絶対、国語の成績も悪いよね。」


鋭いツッコミを入れるキドとセーナ。けれど、モモはそれを気にせず司会を続ける。


「じゃあ、まずはマリーちゃんから!」


そう言ってモモは、マイク代わりに持っていたペンをマリーに向けた。
マリーは、「えっ、私から?!」と慌てだす。そして、恥ずかしそうにクッションで口元を隠しながら言った。


「えっと…私、恋ってどんなものかよくわからないんだけど…。好きって言うか…憧れって言うか…。せ、セトが一番、一緒にいて落ち着く、かな…?」

「「きゃーっ!」」


「……何だか。久しぶりに今、マリーに嫉妬してるかも。」

「お、落ち着け。セーナ。」


頬を赤く染めながら話すマリーを見て、セーナは黒笑みを浮かべる。それに気づいたキドは、慌てて止めに入った。


「いや…でもさ。何かアレ、見てて苛つかない?」


そう言ったセーナに内心、少し同意してしまうキドであった。



「じゃあ、次!団長さん。」

「お、俺か?!……あー。恋愛とかは、したことないな。興味もないし。相手もいないし。」


キドは、少し考えてからそう答える。すると、モモは不満そうな顔をした。


「えー?でも、団長さんには、異性の幼なじみが二人もいるじゃないですかっ!セトさんか、カノさんに少しくらい恋心とか抱いてないんですかー?」

「全くないな。」


はっきり言い切ったキドにセーナは、苦笑するしかなかった。


(お兄ちゃん、カノ……どんまい。)


キドの答えがあまり面白くなかったせいか。モモは、少し不機嫌そうに口を尖らせながら、携帯に目を向けた。
そこにいるのは、勿論エネなわけで。エネは、身の危険を感じたのだろう。ひきつった笑みを浮かべて、モモを見つめた。


「…じゃあ、エネちゃんはー?恋とかしてないの?」

「えー、私ですかぁ?…そうですねぇ。今は、いないですかね!そもそも、こんな状態の私に恋なんて出来ませんし。」

「あー。…そっかぁ。」


納得したモモに、ほっと息をつくエネ。何とか誤魔化すことが出来たようだ。
エネは、誰にも聞こえないような小さい声で「“今は“、ですけどね。」と呟いた。



「それじゃあ!セーナちゃんは、どうなんですか?」


この中で一番、惚気話が聞けそうなセーナに話を振るモモ。

何て言ったって、セーナはカノからの寵愛を受けているのだ。そして、セーナの方も満更でもなさそうな様子である。ある意味、この中で一番のリア充なのではないか。

わくわくしながらセーナを見つめるモモ達(キドを除く)。そんな皆からの期待の目にセーナは、「んー。」と少し考えてから口を開いた。


「私は、特にないよ。」

「まったまた〜。セーナちゃんは、カノさんといい感じじゃないですかー!」

「そもそも、二人が付き合ってないのが驚きですよねー。」

「セーナは、どうしてカノと付き合わないの?(キラキラ)」

「おい、他人の恋愛事情に口だしするのは良くないだろ。」


「…いや。あの、本当にカノとは何もないんだけど。っていうか、何でカノ?」


真剣な顔で言うセーナ。
それにモモ達は「え、」と硬直した。幼なじみのキドまでもが目を丸くしている。


「えっと、本気で言ってるの?」

「うん。だから、何なの?」

「あの…セーナちゃんは、カノさんのこと好きだよね?」

「まあ。大切な家族だしね。」


あっさり答えるセーナにモモ達は、冷や汗を流した。


(((え、自覚なし?!)))



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