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食堂の奥には調理室がある。先に買ってきた食材が置いてあるくらいで、特に特筆するところはない。
食堂を出て、食堂の隣、古めの扉を開ける。そこはどうやら倉庫のようで、様々な物が乱雑に詰め込まれている。
直永「ここは倉庫かー。俺らが来ることはあんまなさそうだね」
最上「……まあ、でも、何か取ってきてって言われるかもしれないし、覚えててもいいんじゃない?」
とりあえず適当に倉庫の中を物色していると、ガチャリと、倉庫の扉が開いた。
???「おや、直永くんに最上くん」
3年生4人目のメンバー、坂下記(サカシタ シルシ)先輩だ。物腰が柔らかく、いつもニコニコしていて、誰にでも優しい。怒ったところなんて見たことがないくらいだ。
坂下「どうしたんですか?こんなところで」
直永「坂下先輩。ちょっと探検がてら、色んなところ見てるんです」
坂下「なるほど。最早これも伝統ですね。僕らの時も、笠くんがはしゃいではしゃいで面白かったですよー」
最上「……先輩は、どうしてここに……?」
坂下「ああ、備品の点検ですね。集合時間までまだだいぶありますし、他の3年生はミーティングで忙しいみたいですから、僕がやってしまおうと思いまして」
直永「何か手伝った方いいですか!?」
坂下「いえいえ、せっかくですし、探検楽しんでください。こんなにワクワクできるの、一年生のうちだけですから」
坂下先輩のお言葉に甘えて、俺たちは探検を続ける。一旦ロビーに戻り、玄関から見て真っ直ぐの位置に曇りガラスの扉がある。扉を開けると中は脱衣場、更に脱衣場からの扉を開くと、大浴場がある。
直永「大浴場まであるの!?個室にシャワールームもあったよね!?」
最上「うん……、でも、脱衣場も大浴場も一つづつしかないから、ちゃんと男女で時間決めないと事故起こりそう……」
直永「むしろそれを期待する場面でしょうが!!これはワンチャンラッキースケベ狙えるよ!!」
最上「…………。」
直永「すみませんでしたゴミを見るような目で見ないでください最上さん……」
???「ふーっ、掃除終わりー、あら」
直永「桃田先輩」
大浴場から出てきたのは、2年生の桃田舞彩(モモタ マイ)先輩だ。我が強く、自分の思ったことははっきりと言うタイプで、既に次期部長の席が彼女に決まっている。男性に対して少々当たりが強く、少し苦手だったりする。
桃田「脱衣場の方から声がするから、誰かいるのかと思ったけど、あなたたちだったのね。中途半端な時間だけど、これからお風呂?」
直永「いえ、色んなところ見て回ってるだけです」
桃田「なるほど。お風呂入るって言われてたらちょっと困るところだったからちょうどよかったわ」
直永「困る?」
桃田「女性陣で夜に一番風呂貰おうと思ってたから。そのために掃除してたのよ」
最上「……桃田先輩、気をつけてください。こいつ、良からぬこと、考えてます……」
直永「なんで友達を売るの!?」
桃田「……へえ、直永くん、やるならバレないようにやることね。もしバレた暁には……、分かってるわよね?」
直永「ハイ、モウバッチリ」
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