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柿涅「チッ…、モノクマのやつ、言いたいことだけ言ってあとは知らんぷりかよ。相変わらずいい性格してるね」
板垣「それに、最後の言葉…、まるでモノクマは僕たちのことを知っているような口振りだったけど…」
平「えっ、じゃあまさか、モノクマはこの中の誰かってことなんですか!?」
沈黙。
平の一言に、まるで水を打ったように場がしんとする。
モノクマが、コロシアイの黒幕が、この中にいる…?
これが普通の合宿だったなら、誰かが平を一笑して、それで皆で笑って、そのまま終わる話だ。だが、コロシアイ合宿なら。そんな小さな疑心暗鬼の火種は、瞬く間に俺たちに猜疑心を植え付ける。
笠「んなわけないだろ〜!」
そんな重い沈黙を破ったのは、意外にも笠先輩だった。
笠「俺たちの中に、そんなこと考えるやつがいる?ははは、ないない!てか、今こうして皆で一緒にいる状態でモノクマを操ることが不可能だろ?だから心配するなって!」
平「笠先輩…!」
笠先輩はそう言って平の背中をポンポンと叩く。
坂下「確かに、遠隔操作でもしない限り、僕らにモノクマを動かすことは出来ませんね。それは笠くんの言うとおりです」
笠「そうそう!大丈夫だって!モノクマの言うことなんて真に受けないでいれば、皆でここから出られるって!な?」
部長という立場か、本人の人格か、それとも、一度心が折れ、それでも正気を取り戻したという実績か。
とにかく、笠先輩の言葉は皆に届いたようで、食堂の空気は徐々に暖かさを取り戻していった。
鈴羅木「口を挟むようで悪いけど、本当に大丈夫だと思うかい?」
…と思ったのも束の間、鈴羅木先輩の一言が、再度場を凍らせる。
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