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直永「波風くんとこうやって話すること自体なかなか無かったけどさ、なんかこう…、会話が続かないっていうか…、俺、波風くんに避けられてるのかなって、ちょっと思ってたから…」

波風「い、いえ!そんな!避けるだなんて!な、直永くんは人を惹き付ける、というか、ま、周りに人が集まってくるタイプなので、ぼ、僕なんかと話しても、じ、時間の無駄といいますか、ほ、他の人と話してた方が、な、直永くんも楽しいんじゃないかと思いましたので…」

直永「えぇ…。嬉しいような、素直に喜んでいいのか分からない…。でも、俺は波風くんとこうやって会話できてほんと嬉しかったから!絶対!嘘じゃないからね!!」



波風「あっ…ああ、あの…あ、ありがとう、ございます…」

何だか波風くん、すごく動揺しているようだ。俺、そんなに変なこと言っただろうか?

直永「あれ?でもさ、今って笠先輩…」

波風「…そ、そうなんですよ。じ、状況が状況なのでし、仕方ないんですけど、ぼ、僕は、いつもの笠先輩に戻ってほしくて…。
そ、それで、か、笠先輩の個室にお見舞い、というか、な、何か励ましに…、と思ったんですけど、や、やっぱり僕なんかが行ったところで、な、何も変わりませんよね…」




直永「いや、絶対に行くべきだ。波風くん」

波風「な、直永くん…」

直永「これが当初の予定通り、普通の一週間の合宿なら、合宿中とか、これからの活動で仲を深めていく。それで良かったんだ。
でも、今は違う。俺たちはダンガンロンパという非日常に巻き込まれている。そんな状況で、下手したら笠先輩は、あの不安定な精神のまま、誰かに殺されてしまうかもしれない」

波風「っ…!」

直永「勿論、俺はサークルの皆が殺人を犯すなんて思ってない。最悪の場合、だね。
でもさ、もしそれが本当に起こってしまったら、波風くん、一生後悔するんじゃない?あの時先輩に何か一言言葉をかけていたら、違う結末もあったんじゃないか、って。
そうなってからじゃ遅いんだよ。それに、今の波風くんなら大丈夫。俺に自分の気持ち、言えたじゃん?それを笠先輩にも、同じことするだけだ。やらないで後悔するよりなら、やって後悔した方が、ずっといいんだよ」

波風「直永くん…!」

直永「あっ…!あーいやー、俺としたことが、別に波風くんに説教がしたかったわけじゃ…」

波風「いえ、あの!ありがとうございます!なんだか勇気を貰えました!ぼ、僕、先輩のところに行ってきます。」

直永「そ、そっか…。うん。うん。いってらっしゃい」

波風「は、はい!そ、それでは、また明日…!」

そう言って波風くんは、笠先輩の個室へ向かっていった。うん、大丈夫だ。波風くんの言葉は笠先輩に届く。それはどんな形であれ、プラスに働くはず。



直永「それにしても、こんな状況じゃなかったら、波風くんとああやって話することも、波風くんのことを知ることも無かったのかもなぁ…」

微妙に複雑な気持ちを抱え、俺は今度こそ自分の個室へと向かった。

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