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直永「強いんですね、門音先輩…」

何か、何か言わねばと思ったが、俺の口から出たのは、そんな余りにも陳腐な言葉だけだった。

門音「え?強い?私が!?そんなことないよー。私は私にできることをしてるだけ。だから、さ、2人も、雪人くんと仲良く…とまではいかなくても、雪人くんをサークルのメンバーの一人として、普通に接してあげてほしいなぁ。…えへへ、こんなこと言ってることが雪人くんにバレたら怒られちゃうかもねー。

じゃ、私は行くね。また後で」

そう言って門音先輩は食堂を後にする。俺が言うのもなんだが、何も考えずに場を賑やかしている人だと思っていたけど、彼女は彼女なりに考えていたんだ。




最上「……。」

直永「も、もがみん…?あのー…」

先程からずっと俯いたままの最上に恐る恐る声をかける。

最上「…直永」

直永「は、はい!!なんでしょう!!」

…何びびってるんだ、俺は。

最上「…俺、鈴羅木先輩に言ったことは本当だけど、…なんでそんなに鈴羅木先輩にイライラするのか、分からなかった。…先輩の言葉が正しいなら、俺、直永に依存してた…のかな」

最上は俯いたまま言葉を紡ぐ。そのため最上の表情は依然として分からない。

直永「もがみん、俺は…!」

最上「…俺、色んなことが分からない。…頭パンクしそう。…しばらく一人にさせて。

…ごめん、直永」

直永「……っ」

最上はそのままふらふらと食堂を出ていく。
ムカつくことだが、俺に「ごめん」なんて、いつもの最上なら絶対に言わない。それほど、この一連の事象は最上にとって非常に重くのしかかっていた。

俺はそんな最上にかける言葉を思い付くことができなかったし、何を言っても最上にとっては薄っぺらいものでしかないのではないか、そう思い、声をかけることも、最上を追うこともできなかった。



直永「もう、部屋戻ろう…」

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