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なんだか上手く誘導されてしまったような気がするが、結局喃渡先輩の厚意に甘えることにして椅子に座り、料理の完成を待つことにした。オムライスか、何だか余計に空腹が刺激されてきたような気がする。

直永「ってあれ?オムライスの材料なんて、用意してましたっけ?」

喃渡「ああ、どうやらモノクマが用意したらしい」

直永「モノクマが!?」

元々1週間の予定だった合宿だが、途中で食材の買い出しに行くことを見越して、はじめから準備していた食材はだいぶ少なかった。勿論オムライスが作れるような状況でもない。

喃渡「聞いたところ、食材に関してはモノクマが定期的に補給するらしい。全員餓死なんて面白くもなんともないから、とな」

直永「本当無駄に用意周到ですね…」

冷蔵庫をなんとなしに開けてみると、確かに昨日まではなかった食材がぎっしり詰められている。なるほど、これなら少なくとも餓死の心配はなさそうだ。



直永「あの、喃渡先輩、けっこうな量作ってるように見えるんですけど、本当に手伝いましょうか…?」

喃渡「なに、気にすることはない。笠くんが今朝からあんな調子だからな。今は秋留に様子を見て貰っているし、俺が3人分の飯を作ってたところに直永が来たからついでだ。3人も4人もそう対して変わらん」

直永「なんか喃渡先輩って、けっこう世話焼きで料理もできるし、お母さんみたいですね」

喃渡「ぬ?お母さん…?俺が、か……?」

直永「あっ、気に障ったなら謝ります…」

喃渡「…いや、そんなことはない。今までお父さんっぽいなんて言われたことはあったが、お母さんみたいなんて言われたことは無かったのでな。少し驚いただけだ」

喃渡先輩は更に言葉を続ける。

喃渡「今はこんな状況だ。サークルの主体である俺たち3年生が、なんとかしなければならん。…だが、部長の笠くんがあんな状態だ。仕方ないことではあるが、その分俺たちがしっかりサポートする他ない。直永も、気をしっかり持つんだぞ」

直永「喃渡先輩…」

喃渡「さて、料理もできたことだし、俺はこれを笠くんの部屋に持っていく。坂下くんから聞いた。夜のミーティングは俺たちも参加する、じゃあまた後でな」

そう言うと喃渡先輩は、3つのオムライスを持って調理室を後にした。

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