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重そうな扉が開く。皆やや興奮ぎみに洋館の中へ入っていく。中は、いかにも「洋館」といった感じの、厳かなものだった。

笠「まず2階の個室に各々荷物を置いてもらって……うーん……夕飯まで解散!自由行動!」

板垣「笠くん相変わらず自由すぎぃ!ま、とにかく、一年生個室の場所分かんないよね、こっちだよ」

副部長の板垣先輩(3年)に連れられ、一年生は2階へ向かった。

板垣「こっちだよー、えーっと、扉の前に名前書いてるから、その部屋自由に使っていいからね」

なるほど、確かに、扉の前に一人一人名前が書かれている。

直永「えーっと、直永、直永……おっ、あった」
廊下の突き当たりから2番目、その部屋の扉には確かに「直永」の文字が。ちなみに隣は2年の羽玖先輩と、同い年で幼馴染みの一人、柿涅理久弥だ。そして向かいはこちらも2年の桃田先輩。早速俺は部屋の中へ向かった。

直永「すっげ……広……」
まさにそこは「客室」。大きいベッドにふかふかのソファー。磨かれたテーブルに、上方にはテレビまである。また、個室毎にトイレとシャワールームも完備している。多少雰囲気はあるが、ここに住めと言われても何ら困ることはない、むしろ快適に住めるであろうその設備に、俺はただ呆然としていた。
暫く個室を堪能してから(森の中にあるからか、テレビはつかなかった)、夕飯までだいぶ時間があることに気づいた俺は、洋館を探検してみることにした。

直永「(といっても一人で回ってもな……、誰かそこらへんにいないかー?)」

個室棟の近辺をうろうろしていると

???「あ……、直永」

直永「おう!もがみん!」

同学年で唯一学科が一緒の友人、最上磔人(モガミ タクト)に会った。いつも眠そうで、いまいち何を考えているのか分からない奴だが、どういうわけか馬が合って、大学ではよく行動を共にしている。ちなみに、最上は俺が招待してサークルに入部することになった。サークルにいるときの最上は、いつもよりほんの少し活気がある、気がする。

最上「……何うろうろしてんの、不審者?」

直永「ちがわい!洋館の探検でもしようかと思ってたんだけど、一人でしてもしょうがないし、誰かいないかなーと思って」

最上「ふーん」

直永「まるで興味なさそうだよね!?」

最上「まぁ……。でも俺も暇だし、付き合わんこともない……。」

直永「クーデレ!?もがみんクーデレなの!?」

最上「……。(べしっ)」

直永「痛っ!?」

というわけで、最上と行動を共にすることにした。



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