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「コロシアイって……」「でも……」「一体どうしたら……」
突如宣言された「コロシアイ合宿」の開始。それに対し、当然だがこの場は混乱を極めている。ここから出たくば誰かを殺せ。そんな残酷なゲームに対し、皆どうしていいのか、多かれ少なかれ戸惑っている。
柿涅「あの」
そんな空気の中、一番に声をあげたのは柿涅だった。
柿涅「皆さん、混乱するのはわかります。ですがここは一度、タブレットを取りに行きませんか?あいつの指示に従うのは癪ですけど、今はそれ以外に情報を得るすべがないと思うので」
井能「……なるほど。さすが理久弥。俺は理久弥に従う」
笠「くそ……、何でこんなことに……、これ、俺が責任取んなきゃいけないのかよ……、くそ……」
喃渡「うむ、そういうことなら、皆で一度タブレットを取りに行くといい。……こんな状態の笠くんを放置しておくわけにはいかん。俺と秋留で、ここで笠くんの様子を見ながら待機するとしよう」
板垣「俺らも、皆が戻ってきたらタブレット取りに行くからさ!」
こうして、笠先輩、板垣先輩、喃渡先輩がロビーに残り、他の人は皆一旦個室へ戻ることとなった。
直永「理久弥。……って、お前なんかイライラしてね?」
柿涅「……ああ、或。まあね。あのクソクマに話の流れ、主導権を握られてるのすっごいムカつく……。何がコロシアイ合宿だよ。あの人形の影で動いてる黒幕、絶対その正体暴いてやるよ……!」
柿涅が完全に怒っている。こうなるともう俺には止められない。少しだけ、ほんの少しだけ、柿涅を怒らせた黒幕に同情する。
直永「気を付けろよ。お前、あんまり気張りすぎると、見せしめとして殺されるぞ?」
柿涅「僕がそんなタマかよ。でも、ま、確かに気は張りすぎてたかもね」
柿涅から、ピリリとした雰囲気が消える。柔らかくなったその表情は、男の俺から見ても絵になるようだった。……俺は断じてホモとかではない。
柿涅「或こそ気を付けなよ。僕なら或みたいなのを見せしめに選ぶし」
直永「理久弥くんは普段どんな目で俺を見てるんですかねぇ……」
そうこう柿涅と会話を交わしているうちに、個室の前に着いた。一度柿涅と別れ、部屋に入る。
部屋の中のテーブルには、モノクマがいった通り、いつの間にかタブレットが置かれていた。起動してみると、「直永或」と自分の名前と顔写真が表示される。モノクマのこういう徹底っぷりには嫌気が差す。そこから、いくつかメニューが表示されて、ある程度は普通のタブレットとして使用できるようだった。
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