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平「……分かりましたよ。そういうことですか」

真狩「ん?何がっすか?」

平「これ、先輩方のドッキリなんですよね!?こうやって、僕たち一年生を驚かせようって魂胆なんでしょう?」

平はそう涙目で訴える。まるで、そうであってほしいと懇願するように。



鈴羅木「いや、それは違うね」



しかし、その淡い期待は、鈴羅木先輩の無慈悲な一言でぴしゃりと打ち切られる。

鈴羅木「ああ、もしかしたら俺抜きでこういうドッキリを企画してたのならすまんね。そうじゃない前提で話を進めるけど、仮にドッキリだとしたら、俺たちの仕込みの時間が必要になる。こんな仕掛けを、一晩でできると思うかい?しかも、一年生に気づかれないように、だ。ドッキリなら、初めてここに入った時にすればいい。事前にいくらでも仕込む時間があるわけだからね。
一度全体を見せてから改めてこう仕掛けをつくるのは、ドッキリとしての意図があまりない。だから、これはドッキリなんかじゃないさ」

平「じ、じゃあ、外部犯ですか!?何者かが入り込んで、こんな悪趣味な真似を!?」

石野田「うーん、残念だけど、その可能性もあんまり高くないかな。実は、昨日洋館に皆が入ったあと、すぐ鍵をかけたんだよね。ここ、森の中にあるわけだから誰かが入ってくることなんて、まずないと思うけど。だから、外部から人が来たって考えはしなくていいんじゃないかな」

直永「なら、やっぱりこの中の誰かがこんなことを……?」

俺だってそんなことは思いたくないが、状況がそれ以外あり得ないと言っているようだ。



笠「……よし、こんなことしたやつ!出てきな!今なら部長権限でオ咎めなし!ちょっとお茶目だったねーで済ます!出てくるなら今だぞ!!」

一同「…………」

名乗り出る者はいない。

笠「くそ……、なんでだよ……。何考えてんだよ犯人……」

一度は元気を取り戻したように見えた笠先輩だったが、それは空元気だったようで、再度頭を抱えて踞ってしまう。と、そこで、俺はあることに気づく。

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