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直永「笠先輩!?一体どうしたんですか!?」

坂下「ああ、実は、いくつかの部屋に入れなくなってるみたいなんですよ」

直永「入れないって……、鍵はどうしたんですか?」

坂下「それがおかしなことに、鍵束がまるごとなくなってるんですよ。昨日石野田先輩がここの鍵を開けてから、石野田先輩が持っていた鍵は、すぐに部長である笠くんに渡されました。それから、僕は笠くんが寝る前に、鍵束をロビーの後ろのカウンター、ここに返していたのを確かに見ています。玄関の鍵はかかったままでしたし、外部の人間が入ってきてこんなことをしているとは考えづらいですね」

直永「……つまり先輩は、サークル内の誰かが、こんなイタズラをしている、と?」



柿涅「チッ……、そういうことか。或、見てよこれ」

直永「何だよ理久弥。今それどころじゃ……」

柿涅「或の部屋にいた時から、何か違和感を感じてたんだ。その正体、どうやらこれみたいだ」

直永「だから何だって…………、え?」



柿涅が指差した先にあるのは窓だ。だが、それは青い空を映しているわけではなく、分厚い鉄板で覆われていた。

直永「え?…………何これ」

柿涅「恐らくだけど、全ての窓がこうなってるだろうね。……くそ、何で気付けなかった……?」

俺が混乱しているうちに、洋館を調べていたであろう人たちが続々とロビーに集まってくる。




桃田「……2階は、個室以外全滅だったわ」

愛宕橋「ダメだ……!1階、大浴場、医務室、酒場も開かなかったぞ……!」

喃渡「別館への連絡通路もダメだ。これじゃあ別館に行くことすらできないな」

やがてロビーに全員が集まり、情報交換が行われた。昨日までは普通だった洋館だが、一夜にしてほとんどの部屋に入れなくなり(更に鍵まで無くなっていた)、窓という窓には鉄板が張られ外の様子が分からなくなっている。現状入ることができるのは、各々の個室と食堂に調理室、それにロビーのみだ。
玄関も当然のように開かず、俺たちは閉じ込められている状態だ。更に驚くべきことに、全員のスマホも無くなっていた。

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