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医務室を出て、左側の扉を開けた。その部屋は他の部屋よりも薄暗く、独特な匂いがする。部屋の棚には様々な瓶が……
直永「……って、ここまさか酒置いてんの!?」
最上「……すごい」
直永「晩酌パーティ待ったなし!!」
???「おっ、やあやあお二人さん。ふふ、見ての通り、ここには結構な種類のお酒があるからね。気に入るのもあると思うよ」
4年生の石野田櫂(イシノダ カイ)先輩が、既にそこにいた。いつも飄々としていて、なかなか掴み所がない人という印象だが、根は真面目なようで、サークル活動にも熱心だ。そういえば、この洋館を借りれているのにも一役かっているとか。
石野田「酒はいいよー。あ、これとかオススメ」
そう言って先輩は一本の瓶をこちらに差し出してくる。ラベルを見ると果実酒のようだ。一見飲みやすそうだが、アルコール度数が存外高いのを俺は見逃さなかった。
最上「……もしや先輩、もう飲んで……?」
石野田「ははは、さすがにそこまではしないよ。まだ日が高いしね」
直永「でもいいっすね!このラインナップ、色んな種類がありますけど、洋館の持ち主さんのチョイスなんですか?」
石野田「うーん、まあだいたいそんなところかな。聞いたかどうか分からないけど、ここ、私たちの先輩の所有する洋館で、その先輩が卒業してからはこうやって毎年借りてるわけだ。中にあるものは自由に使っていいって承諾貰ってるから、私もこうやってお酒下見に来てる感じだしね。だから君らも遠慮しないで晩酌パーティに励むといいよ!お酒を飲みながらのゲームは楽しいしねぇ!」
直永「でっすよねぇ!!」
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