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Sel'ge Liebe auf den Mund,




仕事帰りに駅前で臨也を見付けたのが30分前。
それを捕まえて俺の家に連れてきたのが10分前。


で、今に至る。


「…ねえシズちゃん。如何して俺は今、玄関で抱き締められてるのかな?」
「久々に会えたんだ。抱き締められずにいられるかよ」
「えー別に此処じゃなくても良いじゃん。ほら、いい加減さっさと中入ろうよ」


ここ寒いんだよね、なんて言いながら腕の中のこいつはさっさと俺の腕を外しにかかる。
だが生憎、まだ離してやるつもりが無かった俺は、その意思を込めてさっきよりも強めに抱き締めた。…苦しくない程度にな。
そうすると離す気が無いのが分かったのか、ムっとされた。…ああくそ、可愛いな。ちょっと癒された。

(…ここ1ヶ月、全く会えなかったからな)

正直、臨也不足でそろそろやばかった。仕事でそれなりに憂さ晴らしはしてたが、それじゃ足りない位に。
………にしてもこいつ…また痩せたか?前よりも腰が細くなってやがる。


「…おい、飯ちゃんと食ってんのかよ?前より痩せてねえか?」
「ん?うん、一応?」


その返事に自分の眉がよるのが分かった。
こいつがこんな風に返事する時は大抵、食事を疎かにしている証拠だ。…おおかた、仕事優先で行動してたんだろう。こいつの悪い癖だ。
…俺のその様子でばれたのが分かったのか苦笑いしやがった。…ったく。


「倒れたら如何するつもりだよ手前は。……よし、家で飯食ってけ」
「それは無理。俺この後仕事あるし精々10分位しか…、」
「仕事は休め」
「えー流石にそれはちょっと」
「うっせえ。でもって、飯食ってから風呂入ってさっさと寝ろ。どうせろくに寝てねーんだろうが」
「…何時も思うけどなんで分かるの?他の人にはばれないのに」
「あ?んなの決まってるからだろーが」
「?」
「手前を愛してるからな。他の奴らと違って当たり前だ」


答えたら何故かキョトンとされた。
…さっきから反応がいちいち可愛いな。何時も思うんだが本当に俺とタメかよこいつ…。


「…つまり、愛がなせる業って訳?」
「そうだ」
「…うーん、じゃあ仕方ないかなあ」


そう言うと臨也は、他の奴らには決して見せない無邪気な笑顔を浮かべて俺の背に腕を回してきた。
…あんま無防備な顔してると襲うぞ。


「じゃあ今日はシズちゃんの為にお休みしまーす」
「…ああ。手前が不調だと、俺が困る。つーか嫌だ」
「えへへ、シズちゃんお母さんみたーい」
「おか…」


…ちょっとイラっとした。何言ってんだこいつ。


「……おい、ちょっと顔上げろ」
「へ?…っん!」


俺の声に反応して顔を上げた臨也の頭をぐいっと引っ張って、唇を塞いでやった。ついでに舌も入れてねちっこく嘗め回してやった。…抱き締めた体が抵抗してくるのはこの際無視だ。

散々嘗め尽くして堪能してから唇を離してやる頃には、抵抗していた臨也も腕の中でぐったりとしていた。目元が染まっててちょっとえろい。


「…ふ、ぅ」
「……流石に"お母さん"とはこんな事出来ないよなあ?」
「…シズちゃんのえっち」
「何とでも言え」



(…手前が可愛すぎんのが悪い)




――唇の上ならば 愛情のキス






「…ねえ、ご飯何作るの?俺パスタが良いな」
「残念だったな、焼きうどんだ」
「えー、焼きうどんか…。まあ美味しいから良いけど」
「…別にパスタじゃなくても良いんじゃねえか」
「うん、何となくだったし」
「……ほら、ここ座って待ってろ」
「あ、今ちょっと呆れたでしょ」
「良いから大人しく座って待ってろ…!」



fin



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「静→→→←臨くらいな感じの静ちゃん視点の甘々」でした。
ただのデレデレいちゃらぶですね!

リク有難う御座いました!



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