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夢か現(うつつ)か、


※始終gdgdですご注意。






珍しく仕事が早く終わって暇だったかったから、久々にシズちゃん家にでも行こう。…なんて思って来てみたは良いけれど。

………これ、何事?



「……」
「………」
「…………」
「………ねえ」
「……何ですか」
「……君、本当にシズちゃん?平和島静雄なの?」
「……『シズちゃん』ってのがイマイチよく分からないっすけど……平和島静雄です」
「…………マジかよ…」



………うーんと、まずは情報を整理しようか。

まず一つ目。…今、俺の目の前にいる子ども…多分小学6年生くらいの……ほら、クラスとかで無駄に背のでっかい奴とかいるじゃん?そんな感じ…みたいな子どもが……『平和島静雄』だと言う。
二つ目。…どうやら大人の時の記憶が無いみたい。何か俺の事忘れてるっぽいし、ね。
三つ目。…今日、5月5日はシズちゃん仕事休みなんだよね。…シズちゃん、休みの日は必ずカレンダーに赤丸つけるんだよなぁ。
四つ目。…机にある二つのマグカップ。…多分俺がここに来る前に誰かが来てたって事、だよね。
五つ目。…実はさっきセルティからメールが来たんだよね。それだけでも珍しいのに何故か謝られたからすっごい不思議だったんだけど…これ、この状況の事だよね、絶対。

まあ、つまりだ。
どうやらシズちゃんは新羅の薬で子どもになっちゃったみたい、だ。


(………まじかよ…)


如何しよう…なんて思っていると、フードをくいっと軽く引っ張られる感覚が。
ちらりとそちらに視線を移すと、俺よりやや下あたりにある顔が……今まで見た事無いような…眉が下がって…こう、凄い困ってる顔をしてた。


そんな顔を見つめながら、思った。


(………新羅…覚えてろよ…)




***




「へえ…俺、取立屋なんかやってんすか…」
「そうそう。まあ、主に用心棒がお仕事だからそんなに悪くは無いでしょ」
「あー…まあ俺には確かに似合いかもですね」
「はは、かもね」



あれから数分後。…何故だか俺らは和やかに話をしていた。
だって、あんな困った顔されたら……ねえ?
それにこのシズちゃんすっごい可愛いんだよね。大人には無い可愛さがあって癒される……勘違いしないで欲しいんだけど俺、ショタコンじゃないからね。



「…んーてかさ。敬語、無くていいよ?」
「……え、でも、」
「良いって良いって。大体俺らって敬語で話す仲じゃないし、なーんか違和感あるんだよね」
「へえ……どんな仲ですか?」
「え」



問われてふと気付いた。…ええと、学生時代の同級生で、殺し合いしてて、恋人同士で………あれ、これって説明していいのかな…?



「えー…あー…どうしようかな…」
「は?」
「ああいや、こっちの話ー」
「…?」



…うん、無難に同級生の話題だけで良いか。よしそうしよう。



「あのねー俺ら高校が同級生だったんだよねー。だから腐れ縁みたな感じ?なんだよね」
「へー……それだけっすか?」
「……え?何、それだけって…」
「いや、だってあの……多分っすけど、俺らって付き合ってたとか、そんなんじゃ…?」
「え゛」
「あれ、違いました?」
「……えっと、何でそう、思ったのかな?」
「いや、何か……ハッキリとは言えないんすけど、臨也さん見てるとこう、胸があったかくなるって言うか…抱き締めたくなる感じがするんすよ、ね」
「………」



…え、ちょっとこのコ何言ってんの!てか色々忘れてるくせに何でそんなのは覚えてるのシズちゃん……?意味分からないんですけど…!



「………臨也さん」
「…何?」
「顔赤いっすよ」
「それは君の錯覚だと思うよ。即行眼科に行くべきじゃない?」
「へえ、可愛いとこあるんすね」
「は?え、ちょ、何言って…」
「正直言うと、最初臨也さん見たときイラッとしたんですけど…何故か可愛いって文字がずっと浮かんでたんですよね」
「はあああああ?」
「多分、大人の俺って常にそう思ってたんでしょうね」



そう笑顔で言われてしまったから、思わず呆気にとられてしまった。…え、何これ大人版シズちゃんより策士っぽく感じるのは俺だけ?誰だよこいつ。



「でもそっか…将来の俺って羨ましいな」
「へ?何で?」
「俺の知ってる学校だと、皆俺の事怖がるんすよ…。だから、ちょっと羨ましい、です」
「あー…そっか」
「……ねえ、臨也さん」
「ん、なあに?」
「……ちょっと目を閉じてもらっていいっすか?」
「うん?…まあ、いいけど…」



不思議なお願いにちょっと戸惑ったが、とりあえず俺は目を閉じることにした。
…このシズちゃんは知らないんだろうけど、ここまで俺が素直に人の言う事って滅多に無いんだよ?ほんと珍しいんだ、ら………んん?今、何か柔らかいの、が…。

え、今俺 キス、され、た?



「…え、ちょ、何して」
「あ、バレた」
「いやそりゃ普通バレるだろ…てか何してんのシズちゃん」
「何って、キス」
「いやいやいやなんですんのさ意味分かんないし」
「だってどうせその内元に戻るんすから、折角だししとこうかなって…」
「うん、折角しといてあれだけど何か俺が犯罪者になった気分になるからやめてほんと」
「そこら変は諦めて下さい」
「ふざけんなこのやろ、」
「臨也さん」



声を遮られた挙句名前を呼ばれたものだから、何さ、と返事を返そうとした、ら……強く、抱き締められていた。



「…え、何、」
「これからも未来の俺と仲良くしてやって下さいね」
「……は?」
「有難うございました」



そう言われてさらにきつく抱き締められた。ちょ、胸元に押し付けられたら、何も、見え な  い




***




「…ぃ……ゃ、おい、臨也!」



その声にハっとした。思わずガバッと顔を上げると、そこには何時も見慣れたシズちゃんが。



「…あれ?シズちゃんだ」
「おま、まだ寝ぼけてんのか?もう昼だぞ」
「……は?昼?」



何言ってんの、と言おうとして、はたと気付く。
あれ、俺……何の夢、見てたっけ。



「………」
「どうした?夢見悪かったか?」
「いや、そうじゃなくて…むしろ覚えてないんだよね」
「へー。なら別に良いんじゃね?」
「や、何時もなら絶対覚えてる筈なんだけど…おっかしいなあ…」



(何か、すっごい夢だった気がするんだけどな…)



「…とりあえず起きて飯食え。それから考えろよ」
「……うん、そーする。……ねえシズちゃん」
「んだよ?」
「朝の挨拶」
「……好い加減その表現やめねえか?」
「良いから。ほら!」
「…ったく、しゃーねえな…」



なんて言いながらも、シズちゃんは軽いリップ音をさせながらキスをしてくれた。

それに満足しながらも、俺は何故だか似たような光景をついさっきしたような……そんな、気がしたんだ。



(覚えて無くても良いよ。だから、精一杯俺を愛して)






fin.


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5/5で何か書きたい+リハビリ=カオスに。す、すいませんでした…。
一発書きはやっぱ駄目ですね…。





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