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愛しいアナタ【2】


※甘々?の静雄視点
※ヘタレっぽいシズちゃん






「おまたせー」

その声に見ていたテレビから視線を外し、机の上にと移す。


「…なんでちらし寿司なんだ?」
「ちょっとシズちゃん知らないのー?今日は3月3日だよ?」
「………は?」
「つ・ま・り!ひな祭りって事!何、シズちゃんマジで知らないの?流石シズちゃん昔からバカなだけあるね!」


その言葉に少なからずイラッとしたが堪える。今切れたら駄目だ。


「…ひな祭りぐらいは知ってる。女の子の行事だろ」
「あ、なんだ知ってるんじゃん」
「知らねーなんて言ってねぇよ!…つかなんで女の子の行事なのにそれに合わせる必要があるんだよ」
「えー別に良くない?せっかくの行事なんだし、女の子じゃなくても。それにほら、俺楽しめるし、シズちゃんは美味しいちらし寿司食べられて一石二鳥じゃん!」
「…ぁ、あぁ?」


ね!と笑顔で言われても困る。
……まぁ、美味そうだし、作る手間省けたし…良いか。
そう考えたら、空腹感がより増してきた。
俺はこいつが準備したであろう箸を持ち、一口食べてみた。


「……」
「……どう?」
「…………美味ぇ」
「ほんと?!」
「あぁ、美味い」


ちらし寿司は、マジで美味かった。正直ここまで美味いとは思っていなかったから、驚いた。
つーか思ったんだが、顔良くて頭良くて飯美味いとかどんだけレベル高いんだよ。まぁ性格は最悪だがな。
ふと、珍しく奴が静かな事に気付き、気になってちらり、と向かいに視線を送る。

そして俺は激しく後悔した。視線をそっちに向けた事に。

奴は、今まで見たことのないような綺麗な笑顔を、してた。その事に驚いた。
なんでそんな笑顔をしてるんだ。いや、つかなんでこっち見てるんだよ。マジ有り得ねぇ。綺麗とか思っちまった自分がマジ有り得ねぇ…!

俺はその事に動揺し、それを悟られたくなくて視線を手元に急いで移した。
そっからはもう、顔をあげる事も出来ず、俺はただただ、奴が用意した飯を食ってた。



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