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Chemistry【4】


※臨也視点
※静→(←)臨+幽






結局あの後、しばらく色々と考えたんだけどさ。ふと気づいたんだよ。


俺、なんかこの間からシズちゃんに振り回されっぱなしじゃない?ってね。


だってそうだよね?化学出来ないシズちゃんの為に俺自らシズちゃん家に出向いたりとか。シズちゃんの言葉の意味で凄い動揺…いや、やっぱ今の無し。訂正。…シズちゃんの言葉に悩まされたりとか。しかも現在進行形でシズちゃんの事ばっか考えてるしうっわ有り得ない。


そう思ったらムカついてさ。シズちゃんのくせに俺振り回すとか有り得ない。
うん、だからさ。今日は俺が振り回してやるよ。




覚悟しててね?シズちゃん?




「てな訳でどーん!お待ちかねの臨也君登場!」
「いやうるせえし」



取りあえず手始めに怒らせてみようかなーなんて思って、チャイムも鳴らさずに勝手に入ってシズちゃんの自室の扉開けてみたんだけど…あれ?シズちゃん怒ってない。おっかしいなぁ…。



「こんにちは臨也さん」
「あ、幽君こんにちはー」



内心首を傾げていると、後ろから声をかけられた。おっといけないまた考え込んじゃった。


最近増えたなーなんて思っている俺を余所に、どうやら調度シズちゃんに用事があったらしい幽君が、俺の後ろから顔を出してシズちゃんに話かける。



「兄貴、俺用事出来たから少し出掛けてくる」
「ん、分かった。気をつけろよ」
「うん」



そっかー出掛けるのか、幽君モテるからデートかな?モテる男って大変だよねー…、と1人勝手に同情してたら、頑張って下さい、なんて幽君の声が微かにだが耳に届く。


え、何が?と思い振り返ってみるが、彼は既に1階に降りた後だった。ちょ、早過ぎる。君は忍者か何か?


大体何を頑張るんだ…と考えた所ではたと気付く。……もしかして昨日言ってた事、かな?


……はは、まさかね。無い無い。



「…おい臨也」
「あ、うわ、何シズちゃん」
「……勉強すんだろ」
「へ?あ、うんするけど…」
「…ここ座れ」



突然シズちゃんに呼ばれたかと思えば、腕を引っ張られてベットに座らされた。それに驚く俺を尻目にちょっと待ってろ、と一言だけ残してシズちゃんはさっさと部屋から出てった。



………シズちゃん、ついに拾い食いでもしたのかな。いやだって怒らないし、変だし。…まるで壊れ物に触れるかのように、やんわりと腕握られたし。いやこれはただの例えだけどさ。

……本当、どうしたの?



それが衝撃的過ぎたのか、俺は朝の決意をすっかり忘れていた。……また、この後これ以上の出来事が起こるなんて、その時の俺には知るよしもなかった。




***




突然だけど困った。物凄く。今まで生きてきた中で1番ね!



「…シズちゃん」
「あ?何だ」
「ちゃんと夜に復習したんだね…。昨日教えたの完璧じゃん」
「…そりゃ、手前に言われたからな」
「…う、うん。これなら明日のテスト大丈夫かな」
「ああ。…臨也のおかげだ。有難うな」
「………どういたしまして…」



ジュースを片手に帰って来たシズちゃんと勉強を始めたは良いんだけど。何故だか分からないがずっとこの調子。…つまりシズちゃんがデレてるんだよ。俺相手に!


それだけでも驚きなのに……未だにこの状態。いっそもうデレデレだ。何だコレ…昨日までシズちゃん普通だっのに…、と考えた所で何かが引っ掛かった。…何だろう、出そうで出ないのってイライラするんだよね…。



あ。幽君だ。



うん、スッキリした……じゃない!え、幽君居ないだけでこんな違うの?てか2人っきりになりたいってマジ話な訳?それに今日言ってた頑張ってって…まさかこの事?えええ幽君キミ凄すぎるよ…。



「…ぃ…、おい、臨也!」
「わっ、何?突然大きな声出して…」
「声かけても反応無かった手前が悪ぃ」
「…ごめん。ちょっと考え事してた」
「最近良く考え込んでるよな…。何かあったのか?」
「あーうん、大丈夫」



お前せいだよお前の!



なんて思ったが言わなかった。今のシズちゃんだと、どんな反応返ってくるか全く分からないし、……この状況を少なからず"嬉しい"なんて感じた自分がいるし。


もう一体何なんだ。この間から変だよ。シズちゃんも、俺も。これ以上何か起こる前に帰ろうかな…、と俺は1人ぐるぐると考えていた。



「…なぁ、臨也」
「ん、なあにシズちゃん?」
「あー、あのな……今日、家に泊まってかねえか?」
「…………え゙」



そんな事をシズちゃんが言うまでは。



(あ、変な声出ちゃった)





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