[]

Chemistry【2】


※臨也視点
※静→(←)臨






結局、あのまま3時間ぐらいそこで勉強する羽目になった。…外暗いんだけどー。


まあ、流石のシズちゃんもこれだけやれば少しは覚えるだろ。


なーんて思ってたけど。シズちゃんは見事なまでにその予想を裏切ってくれた。もちろん悪い意味でね!



「…あのさシズちゃん。流石に鉄の化学式は解るよね?」
「………Me、か?」
「……鉄はFe。音似てるけどそんなの無いよシズちゃん…。あと、聞き覚えあるの言ったんだろうけどそれ英語だから」
「…………わりぃ」



なんと実は基礎も解ってないと判明。


いや、うん……なんとなく想像はしてたけどさ。ここまでとか誰も思わないでしょ普通。
だってこれ中学生の時に習う内容じゃん?しかも鉄なんて教えられるの最初の方だし。…そーいや中学の時の先生、『Feは"フェ!鉄!"で覚えろ』とか言ってたなー。馬鹿だよ絶対。……あ、話逸れたね。
…やっぱシズちゃん、体が進化する代わりに脳が退化したんだ。うん、そうに違いない。


…ん?あれ?でもそうしたら今までのテストとか如何してたんだ?てか結果やばそう。



「…あのさシズちゃん。1つ聞いても良い?」
「…おう」
「今まで化学何点だった?」
「……何で手前に教えなきゃならならねーんだよ」
「良いからほら、何点?」
「………………ん」
「え?」
「…全部2点だって言ってんだよ!」



悪ぃか!と一人勝手に叫んで切れてるシズちゃんを尻目に、俺は驚いた。


てっきり0点かと思ってたんだけど…。え、確か1問2点配点のはずだから…1問だけ正解って事?しかも今まで全部?ある意味0点とるより凄くないかそれ?いやでも理解してないのに1問当ててる方が凄いのか?……うん、もうどっちでも良いや。予想外な事するシズちゃんはやっぱり面白いって分かったし。さっすがシズちゃん!



「…おい臨也?」



あ、いけないいけない。考え込みすぎて不信がられた。



「はいはいなーに?」
「いや、むしろお前が何なんだよ。聞いてきたかと思えば考え込みやがって」
「ん?あーあのね、今回ちゃんとした点数とらないとシズちゃんでも危ないんだーと思って」
「あ゙?なんだその"でも"って」
「別にー?先生たちがあの"平和島静雄"に近付きたくなくて、出来るだけ接触しないようにそこそこ配点してるはずなのにそれでも無理なんだーと思って?」
「…………手前、ふざけんのも大概にしとけよ…?」



あーシズちゃん切れそう。まあ別に俺は楽しいからそれも良いけどさ。
……でも、ねえ?



「……あのさ。今回点数とらないとシズちゃんヤバイんでしょ?俺に切れてる場合じゃないじゃんか」
「ゔっ………あぁ」
「しかも基礎から出来てないとか致命的じゃない?今から1人で勉強したって無理だろうし」
「………分かってる」
「うん。だからさ」



そっとシズちゃんの顔を下から覗き込みながら爆弾を投下してみた。



「明日昼頃シズちゃん家に行くから」



「………………は?」
「はい決まり。じゃ、俺先帰るからーばいばいシズちゃん戸締まりよろしく!」
「ちょ…っおい!」
「駄目元で昼飯期待してるからー」
「人の話を聞けえええええ!!」



聞くわけないじゃんそんなの。



なんて考えながら俺は教室を飛び出した。



深い意味は無い。シズちゃんがもし進級出来なかったら、弄れなくて俺がつまらないじゃん?だからぜーんぶ俺の為の行動な訳。



ほら、だからさ。



頬が熱いとか、気のせいなんだよ!





(別にシズちゃんの為とかじゃないし!)





- 7 -


[*前] | [次#]



[]
haziico+
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -