魔女ヒーロー | ナノ



魔女っぽい

戦闘服に着替えた私は、「姉さん! 準備できましたか!?」と騒がしい相棒たちと共に街に出た。そしてパトロールへ。一人の相棒が「所長! 出ました!」とホークスさんに連絡を入れる姿を横目、私はもう一人の相棒に目を向ける。

「ホークスさんって速いんですよね? 追い付けないんじゃ……」

「大丈夫っすよ姉さん! そんな心配しないでもホークスとはちゃんと合流できますから!」

「心配してません」

「またまたぁ」と言われ、このノリなんなんだ、と心内でつっこむ。その間、連絡を終えたらしい相棒が「完庭那のバーにいるらしいです」とこちらを振り返った。

「完庭那やったらこっから近いんで合流すぐっすよ。良かったっすね姉さん!」

「いやだから別に……はぁ、もういいです」

こいつらに話が通じないことは既にわかっていること。ならばこれ以上は何も言わないのが吉だ。
私は口を閉ざし、駆け出す相棒たちを追いかける。空間移動使った方がはやいんだけどなぁ、というのは、口には出さずに仕舞っておいた。


◇◇◇◇◇


完庭那のバーとやらに到着すると、既に暴れていた人物は真っ赤な羽根により捕らえられていた。さすが仕事がはやいと感心していれば、バーのマスターと話を終えたらしい。ホークスさんがパタパタとこちらへ駆け寄ってくる。

「わあ! カリンちゃん戦闘服似合っとるね! かわいい! 結婚しよ!」

「嫌です寄らないでください」

「やだ」

なんて話をしてるとホークスさんの携帯が鳴る。彼が電話に出れば、救援要請だったらしい。すぐに仕事の顔になった彼が翼を広げる。

「さ、次行きましょうか。カリンちゃん、行くよ」

ぐいっと手を引かれ、慌てて浮遊状態に。そのまま飛び立つホークスさんを追えば、「さすがやね」と笑われる。

「でもそのままやったらスカート気にならん?」

「短パン履いてるんで特には……」

「カリンちゃんが気にならんでも俺が気になる。……んー、やっぱあれやない? 魔女言うたら箒……」

「箒……」

ハッとして片手で箒を作り、それに横乗りに。「うん、魔女っぽい」と頷かれ、飛ぶスピードを速められる。私も自然と移動速度を早めれば、事件現場へはすぐに到着するのだった。

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