魔女ヒーロー | ナノ



第二種目発表




「ようやく終了ね。それじゃあ、結果をご覧なさい!」

全員がゴールし、本戦へ出場できるメンバーの発表が始まった。

「予選通過は上位42名! 残念ながら落ちちゃった人も安心なさい! まだ見せ場は用意されてるわ!!」

ミッドナイト先生の背後に浮かび上がったモニターに、名前と順位が表示される。

「そして、次からいよいよ本選よ!! ここからは取材陣と白熱してくるよ! キバりなさい!!! さーて、第二種目よ!! 私はもう知ってるけど〜……何かしら!!? 言ってるそばから」

ミッドナイト先生の司会の途中にドラムロールと共に背後のモニター画面が変化していく。

「コレよ!!!!」

モニターには“騎馬戦”と表示された。
騎馬戦。まさに体育祭といった種目だ。

「個人競技じゃないけどどうやるのかしら」

「参加者は2〜4人のチームを自由に組んで騎馬を作ってもらうわ! 基本は普通の騎馬戦と同じルールだけど、一つ違うのが……先程の結果にしたがい、各自にポイントが振り当てられること!」

「入試みてえなポイント稼ぎ方式か。わかりやすいぜ」

「つまり、組み合わせによって騎馬のポイントが違ってくると!」

「あんたら私が喋ってんのにすぐ言うね!!!」

自らの言葉を遮られたミッドナイト先生が目をつり上げる。

「ええそうよ!! そして、与えられるポイントは下から5ずつ。42位が5ポイント、41位が10ポイント……といった具合よ。そして……1位に与えられるポイントは1000万!!!!」

一斉に出久くんへと視線が集まる。

「上位の奴ほど狙われちゃう──下克上サバイバルよ!!!」

その後、詳しい騎馬戦のルールがミッドナイト先生から語られた。

制限時間は15分。振り当てられたポイントの合計が騎馬のポイントとなり、騎手はその合計ポイント数が表示された“ハチマキ”を装着。終了までにハチマキを奪い合い、最終的な保持ポイントを競う。
奪ったハチマキは首から上に巻くので無闇に取りまくれば管理が大変になる。
そして、普通の騎馬戦と大きく違って、ハチマキを取られたり騎馬が崩れてもアウトとはならない。つまり、最低でも10組から12組の騎馬がずっとフィールドに存在する、ということだ。
もちろん、“個性”の使用はOK。また、悪質な行動を行ったと判断された場合は一発退場となる。

以上の説明が終わり、15分間の交渉タイムとなった。ちなみに、青山くんは“個性”の影響で腹痛が酷くなり、棄権してしまったらしい。ここは原作通りではないのね……。

(んー、しかし誰と組むか……)

上位に残るチームはすでにわかっている。ならばそこから選んでいけばいいわけなのだが、まず私のような奴を仲間にしてくれるかがわからない。
悶々と考えていれば、「カリンちゃん……!」と出久くんがやって来た。モジモジとする彼に顔を向ければ、「あ、あのね」と彼は言葉を続ける。

「よ、よければ騎馬戦、僕とくん──」

「どっけ邪魔だデク!! おいカリン! 俺と組め!!」

出久くんを押し退ける形で勝己くんが現れた。かと思えば、その横から轟くんと梅雨ちゃんが姿を現す。

「なあ神道。俺と組んでくれないか?」

「カリンちゃん。私と組みましょう?」

なんだこれ選び放題かよ……。
突然の集いにひくつく頬をそのままに、私はあわあわと一人慌てた。まさかまさかの展開に頭が追い付くことを拒否している。
その間にも、他のクラスメイトが我よ我よと集まってきていた。そのお陰か、私のところだけ妙な盛り上がりを見せている。変に目立つし正直言って暑苦しい。
誰か助けてくれと思いながら、キョロキョロ視線をさ迷わせた。

「神道さん」

ふと、そこにかかる一つの声。今度はなんだと振り返れば、そこにいたのはニヒルに笑う心操くん。彼は振り返った私の腕を掴むと、「じゃあ行こうか」と歩き出す。

私は咄嗟に口をつぐみ、彼の後を大人しくついていった。背後から「おいこらテメェ!!!」という怒号が飛んで来るが、心操くんの足は止まらない。

やがて喧騒が収まった頃、彼はようやっと足を止めた。そしてくるりと振り返り、「勝手なことしてごめんね」と私に謝る。

「神道さん、ちょっと困ってたみたいだったから……」

「う、うん。実際困ってた。助けてくれてありがとう……」

「気にしないで。それはそうと、騎馬戦、俺と組んでくれないかな?」

突然の誘いに一瞬戸惑うも、「うん、もちろん」と言葉を返す。心操くんはそれに安堵したように笑むと、「他のメンバーはもう揃ってるんだ」と歩きだした。その後を追えば、どこか焦点の定まらぬ尾白くんとB組の生徒を発見する。二人とも声をかけても無反応だ。

「お、尾白くん?」

「無駄だよ。俺の個性で洗脳してるから、心ここに非ずだ」

「心操くん個性洗脳なの? すごい強個性だね!」

「……神道さんといるとペース崩れるな」

気にするとこそこなの?、と問われ、「え? 違うの?」と思わず返す。心操くんはそんな私に「いや、やっぱりいいや」と告げると、騎馬戦での作戦を口にした。

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