魔女ヒーロー | ナノ



個性は?




「今日のヒーロー基礎学だが、俺とオールマイトそしてもう一人の3人体制で見ることになった」

とある日の午後。いつも通り教壇に立ち説明する消太さんに、生徒の一人が手をあげる。

「ハーイ! なにするんですか!?」

「災害水難なんでもござれ、人命救助訓練だ!」

ざわざわと室内がざわめきだす。それに「おい、まだ途中」と、消太さんの低い声が響いた。賑やかだった教室が一気に静まり返る。

「今回戦闘服の着用は各自の判断で構わない。中には活動を限定する戦闘服もあるだろうからな。訓練場は少し離れたところにあるからバスに乗っていく。以上、準備開始」

端的によくまとまった説明を聞いてスーツケースを持ち教室を後にする。

これから大変な目に遭うぞ……。

嫌な気分に陥りながら、戦闘服に着替え、帽子を手に外へ出た。

「神道くん! 番号順に二列に並んでくれ!」

「いや、誰も並んでないよ飯田くん……」

早速委員長らしく振舞っている飯田くんだけど、どうやらから回ってるみたいだ。どうしようかと思っていたら、消太さんからの「早く乗れ」という一声で結局順番ごっちゃでバスに乗り込む。

「轟くん、お隣よろしい?」

「あぁ」

「ありがとう」

お礼を言って轟くんの左隣に座る。

「……」

「……」

「……そういや、猫大丈夫だったか?」

無言の空気にやべえ、話題がねえ、と思っていれば、まさかの轟くんから振ってくれた。これはチャンス。私は「うん」と一つ頷いて、手の中にある帽子を握る。

「怪我もなさそうだったからお風呂に入れてね。今は落ち着いてるみたいでよく食べてよく寝る」

「そうか。良かったな」

「うん! あ、名前はね、シロにしたんだ。白いからシロ。白猫のシロちゃん」

「メスなのか?」

「いやオス」

轟くんは目を瞬き、やがてふっと笑った。おお、イケメンが笑った……、と感動していれば、前方の会話が耳に入ってくる。

「派手で強ぇっつったらやっぱ爆豪と轟に神道だな」

「爆豪ちゃんキレてばっかだから人気出なそ」

「んだとコラ出すわ!!」

身を乗り出して抗議する勝己くんに目を向ける。隣の耳郎さんが迷惑そうだ。

「この付き合いの浅さで既にクソを下水で煮込んだような性格と認識されるってすげぇよ」

「てめぇのボキャブラリーはなんだコラ殺すぞ!」

「クソを下水で煮込んだような性格……やべえ」

「聞こえてんぞクソ女!!!」

おっと失礼。私はパッと口を閉ざす。

「神道の個性も強ぇよな〜」

「あれなんて個性なの?」

「浮いてたし轟捕獲してたし」

「おい神道! なんの個性なんだよ!」

問い詰められて視線をさ迷わせれば、消太さんの「いい加減にしろ」とのお達しでみんな静かになった。
助かった……。
思いながら安堵する。

「……神道」

「ん? なに、轟くん?」

声をかけてきた轟くんを振り返る。彼は少し考えた後、「やっぱいい」と口を閉ざすのだった。

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