大騒動
「「「「恋する個性をかけられたぁあああああ!!??」」」」
寮へと戻って一発目。なかなかホークスさんから離れない私に疑問を持った面々がどうしたどうしたと集まる中、ホークスさんがしらっと告げた『個性をかけられた』という事実に、おじさまとクラスメイトたちは驚愕の声を張り上げた。
中でも出久くんと勝己くん、轟くんの顔が般若を越えたものになっているのは私の勘違いだと思いたい。
「こ、恋する個性って!! 誰に!? なにが目的で!?」
「ホークスよく許したな!!」
「許しとらんし明日来るみたいやけんそこできっちりお話しようと思ってね。俺まだカリンちゃんの護衛やし」
「遅えわ! その場で爆殺しろ!!!」
「爆殺て」
物騒、と呟くホークスさんにほんとな、と同意していれば、「でも恋する個性とか最強じゃね?」と上鳴くん。「好きな子誰でも口説き落とせるってことだろ?
そいつかなり彼女いんじゃねーの?」と告げる彼に、「そうだとしたらヤバすぎる」と三奈ちゃんが呟いた。
「他に彼女いるのにカリンちゃんに告白したとなればそいつはただのクズ男だ」
「轟、燃やせ」
「ああ、燃やす」
「でも操兎くん、要人の息子だって言ってた……あ」
パッと口を塞ぎ縮こまる。「「「「操兎くん!!??」」」」と驚愕する面々に、私は一人「うーっ」と項垂れた。別に名前呼びたいわけじゃないのに……。てか皆反応するとこそこなのね……。
これも個性の影響なのかな、と考えていれば、轟くんがズカズカとこちらへ。ガシリと私の肩を掴み、「焦凍って呼んでくれ」と一言。
「しょ、焦凍……?」
「ああ。よし。……よし」
なにがよし、なんだ轟くん。私は遠い目で彼を見た。
「しかし、要人の息子か……こりゃやべえんじゃねえの?」
「ああ。向こうは確実にそれをダシに神道に迫ってくるに違いない」
「相澤先生に相談した方がいいんじゃ……」
「そうだな。よし! 先生を連れてくる! 皆はここで神道くんを励ましていてくれ!」
いや励ましとかいらないんだが……。
言う間もなく、飯田くんが寮を飛び出した。私はそれを見やりながら、そろりとホークスさんから距離をとる。
「あの、ホークスさん……ご迷惑おかけして申し訳ありません……」
「なに言うとんの。迷惑被っとるのはカリンちゃんなんやけん、そういうの気にせんでよかよ」
「そうだよ、カリン。ホークスくんはこういう時しか頼りにならないんだから謝らなくていいんだよ。寧ろこういう時こそきちんと扱うべきだ」
「オールマイトさん、俺への当たりキツくないですか?」
ホークスさんが思わずとおじさまを見る。おじさまはそんなホークスさんに「なぜだろうね」と告げると、私を手招き頭を撫でた。
「大丈夫だよ、カリン。カリンを変な男に渡したりはしないからね」
言ってにこりと笑むおじさまに、私は小さく頷くのだった。
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