雑記帳 冬だ!破妖だ!懇親会@


2007年1月1日 懇親会

病床のマンスラムに代わって、セスランが幹事を務めることになった。
浮城の地下にある(わけがない)カラオケボックスに集合する面々。



セスラン「みなさん、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします」
全員「おめでとうございまーーーーーーーす」


ラス「……」
セスラン「浮かない顔ですね、ラス。さすがのあなたでも、3年以上もの長い間呼吸困難に陥っているのは辛いですか」
サティン「首の跡はまだ消えないの?おしぼりをあてるといいわよ」
ラス「すまない……」
リーヴィ「父親と護り手はどうしたのよ」
ラス「懇親会だからと言ったら、特別に解放してもらえた。闇主は、久々に妖主仲間と遊びに行くと……」
サティン「あら、闇主って他の妖主と(性的関係抜きで)つきあいがあったの?」
セスラン「本当は独りでパチンコでもなさっているのでは」
リーヴィ「年賀状とか、一枚も来なさそうだものね、あの人」


ラス「………サティンたちは、どんな年賀状を書いたんだ?」
サティン「私は、押し花の葉書きよ。両親は草花が好きだから」
リーヴィ「あたしは開くと音楽が鳴るカード」
セスラン「シンプルに筆文字のみですね。私のお得意様は、ご年配の方が多いので」
ラス「年賀状を出すような人がいて、いいな。私は、身寄りがないから」
サティン「ラスの一族は、チェリク様を残してみんなお亡くなりになったのよね、確か」
ラス「今となっては、その方が良かったような気もするな。私や母の事が知れたら、迫害されるのは必至だろうし……」
セスラン「その点私の母は肝が据わってましたからねえ。周りに何を言われても『あいつら、私たち一家が美形だから妬んでるのよ』で済ませてましたよ」
サティン「うわあ、言いそう…(会ったことないけど)」


ラス「リーヴシェランのご両親は健在なのか?」
リーヴィ「相変わらず、よ。結婚しろ結婚しろってうるさいだけ。兄さまは兄さまで、あの女の事を忘れる気配すらないし」
ラス「……私も、もう一度お会いした方がいいだろうか」
リーヴィ「ラスが責任感じる必要なんてないわよ!破妖剣士は、魔性を倒すのが仕事。ここから先は、カラヴィスの問題なんだから」
彩糸「リーヴィ……すっかり立派になって……(目頭を押さえる)」


サティン「邪羅は助けてくれないの?」
リーヴィ「あ、あいつは関係ないわよ!あたしが嫁ぐと知ったら、面白半分でからかいに来るに決まってるわ!」
サティン「そうねえ。私が思うに、邪羅があなたに対して余裕でいられるのは、好敵手の存在がないからだと思うのよ」
セスラン「と言うと?」
サティン「ほら、魔性って結局、闘争本能の塊じゃない?恋愛に関してもそれは同じで、誰かと競い合ったり取り合ったりすることが、愛情の証になってるような気がするの。ラスの場合、闇主という強力なライバルがいるからこそ、邪羅はあんなにムキになるってことよ。その点リーヴィの周囲には、今のところ邪羅と張り合えそうな男性がいないでしょう?」
リーヴィ「う……そうかも……」
サティン「自分を成長させない恋愛はしない、ってことかしらね。あの子って結構打算的なところがあるから」
リーヴィ「れ、恋愛ってそういうものじゃないと思うわ!」
セスラン「と言うと?」
リーヴィ「一緒にいると心が温かくなったり……何もしてくれなくても、傍にいるだけで満たされるって言うか……」

邪羅「誰かおれのこと呼んだ?」
リーヴィ「ぎゃーーーー!!」
彩糸「リーヴィ、はしたないですよ」
邪羅「相変わらずうるせー奴……。あっ、カラオケしてんの!?混ぜて混ぜてっ!」

サティン「何のかんの言っても、お似合いなのよね」
彩糸「ですが、三兄弟揃って魔性に誑かされるというのは、いささか……」
サティン「考えてみれば一番可哀想なのって、あなたたちのお母様よね。何か、悪者みたいに思われているけど……私が母親だったら、今の状況ってかなり辛いものがあるわ」
セスラン「いい母親か悪い母親か、と言うのは、最終的には育った子供で判断されますからね。私は両親のおかげで、我ながらイイ性格に育ったと自負しておりますが」
サティン「普通に育てたのに魔性とくっついたり、浮城に連れて行かれたり……難しい問題ねえ」
セスラン「そういうサティンはどうなんですか?他人の世話を焼きたがる人に限って、自分の事は……ですよね」
サティン「はい、ここでZARDの『君がいない』歌いまーす」

鎖縛「おれの存在は無視か……」
セスラン「おや、いたんですか。こちらへどうぞ」
鎖縛「さっきからいただろ!?ついでに長渕剛の『とんぼ』一曲歌っただろうが!!」
セスラン「話に夢中で、誰も聞いていなかったようですよ」
衣於留「存在感のない妖貴なんて、影を作れない日時計みたいなものよ」
ラス「よく判らない喩えだが……要するに、『価値が無い』と……?」
鎖縛「!!」
衣於留「あーあ、とどめ刺しちゃったわね」
鎖縛「…………いいんだ……放っておいてくれ。所詮おれは偽者……木村拓哉とホリくらいの差があることは歴然。だが長期のスパンで見た場合どちらに視聴者のニーズがあるかという点については一考の必要がある、もっと中身で判断してくれ。だいいちキムタクはヒアルロン注射で美貌維持って反則じゃないのか?整形より後ろめたさが少ない分、姑息な手段って気がしないか?顔さえ良ければ歳くっててもいいのかよ。柘榴の妖主だってあんな顔して実は数千歳のジジイだぞ、おれの方が年齢的にはずっと若いし髪の色も万人受けする黒だし肌の艶も勝ってる。なのに「性格」なんてあやふやで不確かなものによって人気が左右されるのは釈然としな」

セスラン「これは当分戻って来られませんね。今のうちに、次に歌う曲を入れておきましょうか」
衣於留「リモコン持ってるから入れてあげるわ」
セスラン「では、小野正利の『You're the only…』お願いします」
衣於留「……」
セスラン「そう言えばラス」
ラス「はい」
セスラン「あなた宛てに葉書きが届いていましたよ。奪還チームからです」
ラス「!」
リーヴィ「どれどれ?見せて!」


『ラエスリールへ

あけましておめでとう。
子供を預けて自分だけとんずらとは、いいご身分ね。愚図っているから早く戻ってらっしゃい

                                                 奪還チーム』



リーヴィ「この『子供』って、あの金髪の、弟そっくりだっていう男の子のこと?」
セスラン「そうでしょうねえ。奪還チームというより、スラヴィエーラの意見しか書いてありませんが」
リーヴィ「ラス、どういうことなの?」
ラス「え……」
リーヴィ「以前に、邪羅が言っていたわ。ラスは、弟に似た容姿を持つ人に弱いんだって。最初の頃、きつく当たったあたしを嫌いになれなかったのも、それが理由?」
ラス「そ、それは……」
リーヴィ「金髪で緑目なら誰でもいいってこと!?その子がいるから、もうあたしたちのことなんて忘れてしまったの!?」
セスラン「……なにやら痴話喧嘩めいてきましたね」
サティン「痴話喧嘩と言えば、奪還チームは仲良くやっているのかしら?今まで紅一点のつもりで通してきたのが、ターラの覚醒によって紅二点になったわけだから……」
セスラン「これまでと同じようには行かないでしょう。……と、もう歌い終わったんですか。では次は私が」





in青月の宮

ラエスリールから濫花を預かったマイダードたちは、適当に治療を施していた。
数日後、そこにはすっかり元気になって庭を走り回る濫花の姿が。(世界まる見え風)

スラヴィ「こら、待ちなさい!まだ完治してないのよ!」
濫花「やだよーーーだ!」
微笑ましげに見守るマイダード&オルグァン。

スラヴィ「マイダード、その子を捕まえてよ!」
マイダード「よし、おいで」

両腕を広げて待ち構えるマイダードの胸に、タックルをかます濫花。

濫花「ねえ、ラスはいつ帰ってくるの?」
マイダード「鬱金が再開し次第だな」
濫花「じゃあ、ほとんど絶望的ってこと?」
マイダード「子供のくせに、よくわかってるじゃないか(笑)」
スラヴィ「なにが(笑)よ!このまま鬱金が出なかったら、冗談抜きに、わたしたちの存在は二度と日の目を見ないかも知れないのよ。それでもいいの!?」
オルグァン「いや、むしろ他のシリーズに使いまわされるかも知れん。名前を変え職業を変えて」
スラヴィ「……それはそれで、もっのすごく嫌だわ……」
マイダード「まあ、なるようにしかならんさ」
濫花「ラスを信じて、ずっと待ってる」
スラヴィ「全く能天気なんだから……」
オルグァン「お前ら、そうしていると新婚夫婦とその子供のようだな」
濫花「?」
スラヴィ「やめてよ!わたしは生涯破妖刀ひとすじって決めてるんだから!!」
マイダード「………」
オルグァン(不憫な……)


そこへ突然、小林幸子のような衣装で現れるミランス。


ミランス「マイダード殿、オルグァン殿。あけましておめでとうございます」
マイダード「あけおめです」
オルグァン「ことよろ」
スラヴィ(なんでわたしだけ無視なの?別にいいけど)
ミランス「折角滞在して頂いているのに、何もないところで退屈でしょう」
マイダード「そうでもないですよ」
オルグァン「一人でも十分騒がしいのが居ますので」
スラヴィ「……」
ミランス「これは、少ないけれどお二人にお年玉です」

袋に入れていない剥き出しの福沢諭吉を一枚ずつ渡すミランス。

マイオル「あ、どうも」
スラヴィ(ちょっと、なに受け取ってるのよ!!)

ミランス「原作では色々と辛く当たってしまいましたけれど、これでも感謝しておりますのよ」
マイダード「?」
ミランス「私もシュラインも、とうに忘れ去られたキャラなのに、あなたたちのおかげで再登場できたようなものですから」

マイダード「いや、礼を言うならラエスリールにだと思いますが。我々は彼女を追ってここに来ただけですので」
ミランス「あの事件……本当はラエスリール殿ではなく、あなたが派遣される予定だったと伺いましたよ」
マイダード「それは後付け設定ですから安心してください。『漆黒の魔性』の時点で、前田女史の頭の中におれが存在していたとは考えられません」
オルグァン「明らかに五分で思いついたようなやっつけキャラだからな、お前は」
スラヴィ「あなた人のこと言えるわけ?台詞も出番もほとんどないくせに、年長者って設定だけでベテラン気取っちゃって」
オルグァン「巻ごとに性格が違うお前に言われたくは無い。なんだ2巻の口調は、一軒屋の老婆か?」
マイダード「お前だけは確実に死亡フラグ立ってるしな」
スラヴィ「どこがよ!?」

マイダード「前にも言わなかったか?主人公に逆らう美女(敵)は死ぬって決まってるんだよ。お前は2巻ラストであの2人の邪魔に入っただろ。絶対に恨みは買ってる」
スラヴィ「4年前の行動なんて、いちいち覚えてないわよ!!」
マイダード「(笑)」
オルグァン「邪魔された時、柘榴の妖主がお前に対して何の反応も示さなかったのが、却って恐ろしさを助長しているな。この辺りはさすがにプロの作家だ、よくわかってる」

スラヴィ「単にページが足りなかったんじゃないの?それに、わたしが怒り狂った柘榴の妖主に○○や○○○されるシーンなんて、ここの管理人くらいしか需要ないでしょ」
マイダード「柘榴の妖主がお前の身体を操って、おれたちの前で○○や○○○させるとかだったら、おれは少し興味あるんだが」
スラヴィ「あなたが柘榴の妖主に痛めつけられる方が、人気出ると思うわ」
マイダード「そういうのは先人(九具楽、鎖縛)の二番煎じになるだろ。あれは、色気ムンムンの妖貴から血がドバーーッと吹き出すから絵になるんであって、清純派のおれが同じ目に遭ったら、ただの弱い者苛めに見える」
スラヴィ「誰が清純派なのよ、誰がっ!?そう思ってるなら服くらいまともに着なさいよ!」
ミランス「あら、マイダード殿はそれが個性だと……」
スラヴィ「飢えた未亡人は黙ってて!!」


ミランス「まあ、私が死ぬことはまずありませんからね。あなたたちとお話するのも、これが最後かも知れません。そう思えば毒舌も可愛いものです」
スラヴィ「わたしだって死なないわよ!『破妖の剣・有終の美を飾った脇役』として、歴史に残って見せるわ!」
オルグァン「狭い歴史だな」
ミランス「今年こそ鬱金の続きが出ると良いですわね。では、私はこれから『社交ダンス部』を観ますので……」



ゴンドラに乗って去っていくミランス。(総重量1トン)



マイダード「儲けたな。この金で飲みに行くか」
オルグァン「お前はすぐそれだな……子供はどうする?ターラに預けるか」
濫花「外は危険だって言うから、二人でお留守番してるよ」
スラヴィ「まあ蜜里もいるし、大事にはならないだろうけど。それよりこれ、浮城までの交通費にしない?」
マイダード「浮城?」

スラヴィ「わたしたちを差し置いて、懇親会を開いているらしいのよ。気に入らないから乱入しましょう」

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